ガウスの海
2002年11月30日宮城県仙台市で行われた数学教育協議会東北大会で、仙台二高数学研究会の皆さんとお会いすることができました。
そこで、「アレフ ゼロ」(本当はヘブライ文字のAにあたる「アレフ」という文字に下添字0がついている)という会誌を頂いた。
その場で、この「取れたて通信」で紹介してよいか許可を求めたのであるがあいまいなままの状態であるが、ここに
紹介する「ガウスの海」はその中にあった。図はオリジナルなものを使っている。
僕が前に旅をした「ガウスの海」という所は少し変わった所だった。
それは案内者に連れられた旅行だったのかもしれないが、どっちにしろ楽しかった。
そこはずっと遠くまで続くまっ平らな海で
その海には1か所だけ小島があり大きな灯台が建っていた。
灯台の光は強く、ガウスの海のどこからでも見えた。
そんな海にEという船がやってきた。あるところでEの船長はいかりを沈めた。
そこにAという大きな船がやってきた。AはEの存在に気づかなかった。
Eの船長は考えた「今、Aのある場所を何とかして数字であらわせないものかなぁー」
「そうだ、こんな風に複素数平面をとればAの位置が1つの複素数で表せるんだ!」
Eの船長は灯台を原点、自分の位置を1とする複素数平面をとった。
Eの船長はAの位置をαと測定した。(αは複素数)
しばらくしてAの船長もいかりを沈めた。
Aの船長は、このように複素数平面が設定されているとは思わなかった。
次にBという船がやってきた。
Aの船長は、E船長が考えたように
「今、Bのある場所を何とかして数字であらわせないものかなぁー」
そして、下図のように複素数平面をとり、Bの位置を z と測定した。
Eの船長はBの位置をβと測定した。(βは複素数)
Eの船長は、AがBをどのように見ているのか気になりだした。
(Aの考えた複素数平面上で、AがBをzと観測した、その複素数zを知ることができるだろうか?)
Eの船長はしばらくして答えをみつけた。皆さんも少し考えてみて下さい。
α=rα(cosθα+@sinθα)
β=rβ(cosθβ+@sinθβ)
とおくと、rα≠0であり、
灯台から船Aまでの距離を1としたとき、灯台から船Bまでの距離はrβ/rαで求められる。
船AB−灯台ー船Bの角度はθβ−θαで得られる。
これを式で表すと
|z|=rβ/rα
argz=θβ−θα
となる。
このときとは、
z=β/α
となっていることを表していて、
「β/αはαを単位としてβをみた時の値」
と理解できる。
このことは割り算の出てくる所には普遍的に通じるものだと思う。
具体例として次の問題を考えてみよう。
あめが12こあります。3人で同じ数ずつ分けると、一人ぶんは何こになりますか。 |
これは東京書籍の「新しい算数3上」という本のp.19の問題である。
次のページに下のような絵がかいてあった。
これは、「1人に1こずつ配る」という作業を4回行ったということだ。
これを求めるためには「12は3いくつぶんか?」と考えればよいことになる。つまり
「3を単位として12を見たときの値」
となる。