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部屋の整理をしていたら、昔の生徒のレポートが出てきた。なんと、最近この「取れたて通信」の掲示板に書き込んでくれている Ryo さんのものであった。私の転勤があったりして、「取れたての定理です」に収録されないままになっていた。面白い内容なので紹介しよう。連分数展開による無理数の近似
たとえば、60と112の最大公約数を求める方法として、
112 を 60 で割って 商が 1 余りが 52 になります。
112 = 60 × 1 + 52
次に、今度は割る数60を余りの52で割って、
60 = 52 × 1 + 8
また、同じように、割る数52を余りの8で割って
52 = 8 × 6 + 4
これを繰り返して
8 = 4 × 2 + 0
となる。このように余りが0となったときの割る数4が、最初の60と112の約数になるというものです。
上の計算結果は、次のように変形できる。
112 52
−−− = 1 + −−−
60 60
60 8
−−− = 1 + −−−
52 52
52 4
−−− = 6 + −−−
8 8
8 0
−−− = 2 + −−−
4 4
上の計算の結果を次のような分数の形で表すことができる。
112 1
−−− = 1 + ――――――――――――
60 1
1 + ――――――――
1
6 + ―――
2
このような分数を、より簡単に、
112
――― = [1,1,6,2]
60
と表すことにしよう。すべての分数は、このような連分数展開が可能であり、有限の長さで終了する。
この分数の連分数展開は、例えば「EXCEL」のような表計算ソフトで、簡単に得ることができる。
A = B × Q + R
という式の各要素A,B,Q,R用にセルを用意して、所定の結果が出るように式を入れて、それを下にずらっとコピーすれば出来上がりである。Qのセルを順に上から見ていけばこの展開が得られる。
この分数の連分数展開のワークシートができたら、分子に無理数を、分母に1を入れてみると面白いことがわかる。
例えば、
SQRT(2) = [1,2,2,2,2,2,2,2,・・・]
SQRT(3) = [1,1,2,1,2,1,2,1,2,1,2・・・]
SQRT(5) = [2,4,4,4,4,4,4,4,・・・]
SQRT(6) = [2,2,4,2,4,2,4,2,4,2,4・・・]
SQRT(7) = [2,1,1,1,4,1,1,1,4,1,1,1,4,・・・]
SQRT(8) = [2,1,4,1,4,1,4,1,4,1,4・・・]
SQRT(10) = [3,6,6,6,6,6,6,6,・・・]
SQRT(12) = [3,2,6,2,6,2,6,2,6,2,6・・・]
SQRT(13) = [3,1,1,1,1,6,1,1,1,1,6・・・]
SQRT(14) = [3,1,2,1,6,1,2,1,6,1,2・・・]
・・・・・・・・・・・・・・
ユークリッドの互除法を使って最大公約数を求めるExcelのシートを作った。
A1 | = | B1 | × | Q1 | + | R1 | ||||
A2=B1, | B2=R1 | として | A2 | = | B2 | × | Q2 | + | R2 | |
A3=B2, | B3=R2 | として | A3 | = | B3 | × | Q3 | + | R3 | |
A4=B3, | B4=R3 | として | A4 | = | B4 | × | Q4 | + | R4 |
このシートによって、A1/B1=[Q1,Q2,Q3,Q4,Q4,・・・] という連分数展開が得られる。このA1にSQRT(m)、B1には1を入れると、
A1=SQRT(m), | B1=1 | として | A1 | = | B1 | × | Q1 | + | R1 | |
A2=B1, | B2=R1 | として | A2 | = | B2 | × | Q2 | + | R2 | |
A3=B2, | B3=R2 | として | A3 | = | B3 | × | Q3 | + | R3 | |
A4=B3, | B4=R3 | として | A4 | = | B4 | × | Q4 | + | R4 |
mとして、2から順に入れてみると、次のようになる。
SQRT(2) = [1,2,2,2,2,2,2,2,・・・]
SQRT(3) = [1,1,2,1,2,1,2,1,2,1,2・・・]
SQRT(5) = [2,4,4,4,4,4,4,4,・・・]
SQRT(6) = [2,2,4,2,4,2,4,2,4,2,4・・・]
SQRT(7) = [2,1,1,1,4,1,1,1,4,1,1,1,4,・・・]
SQRT(8) = [2,1,4,1,4,1,4,1,4,1,4・・・]
SQRT(10) = [3,6,6,6,6,6,6,6,・・・]
SQRT(11) = [3,3,6,3,6,3,6,3,6,3,6・・・]
SQRT(12) = [3,2,6,2,6,2,6,2,6,2,6・・・]
SQRT(13) = [3,1,1,1,1,6,1,1,1,1,6・・・]
SQRT(14) = [3,1,2,1,6,1,2,1,6,1,2・・・]
SQRT(15) = [3,1,6,1,6,1,6,1,6,1,6・・・]
SQRT(17) = [4,8,8,8,8,8,8,8,8,8,8・・・]
SQRT(18) = [4,4,8,4,8,4,8,4,8,4,8・・・]
SQRT(19) = [4,2,1,3,1,2,8,2,1,3,1,2,8・・・]
SQRT(20) = [4,2,8,2,8,2,8,2,8,2,8・・・]
SQRT(21) = [4,1,1,2,1,1,8,1,1,2,1,1,8・・・]
SQRT(22) = [4,1,2,4,2,1,8,1,2,4,2,1,8・・・]
SQRT(23) = [4,1,3,1,8,1,3,1,8,1,3,1,8・・・]
SQRT(24) = [4,1,8,1,8,1,8,1,8,1,8,1,8・・・]
SQRT(26) = [5,10,10,10,10,10,10,・・・]
SQRT(27) = [5,5,10,5,10,5,10,5,10・・・]
SQRT(28) = [5,3,2,3,10,3,2,3,10・・・]
SQRT(29) = [5,2,1,1,2,10,2,1,1,2,10・・・]
SQRT(30) = [5,2,10,2,10,2,10,2,10・・・]
SQRT(K2+1)=[K,2K,2K,2K,・・・]
SQRT(K2+2)=[K,K,2K,K,2K,K,2K・・・]
K=3Lのとき、
SQRT(K2+3)=[K,2K/3,2K,2K/3,2K,2K/3,2K・・・]
K=2Lのとき、
SQRT(K2+4)=[K,K/2,2K,K/2,2K,K/2,2K・・・]
もちろん、これらの定理は証明できる。証明はやさしいので、みなさんやってみてください。
π = [ 3,7,15,1,292,1,1,1,2,1,3,1,14,2,1,1,2,2,2,2,1,89,2,1,1,15,3,13,1,4,2,6,6,1,・・・ ]
そういえば、[ 3,7 ] =22/7 だから、πの近似値として、22/7を使われてきたのも、なるほどとうなずける。
e = [ 2,1,2,1,1,4,1,1,6,1,1,8,1,1,10,1,1,12,・・・ ]
eの連分数展開には規則性があるのが面白い。
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