12月例会の話題から

 

 12月14日(土)にもたれたサークルの様子をお知らせします。

●仙台二高生への授業でやれなかったことについて          下町壽男(盛岡三高)                       

 1 リュカ数「しもまっち数列」

 漸化式を満たす数列を「フィボナッチ型数列」と呼ぶことにする。のときは、「フィボナッチ数列」になる。

 では、としたときの一般項は、

 ただし 

となり。この数列をリュカ数という。

 フィボナッチ型数列は、和も実数倍もまたフィボナッチ型数列になるので

「フィボナッチ型数列はベクトル空間をなす」

といえます。さて、

フィボナッチ数列 

リュカ数   

として、

とすれば、これはフィボナッチ型数列の1次結合なのでもまたフィボナッチ型数列となりますが、また公比βの等比数列でもあります。

このを「しもまっち数列」と命名したい。

具体的には、

 2 フィボナッチ数とユークリッドの互除法

 フィボナッチ数列の隣り合う2項を考える。例えば、5589とする。この2数の最大公約数は何でしょうか?

ユークリッドの互除法から

つまり、

「フィボナッチ数列の隣り合う2項は互いに素」

ということになる。リュカ数も同様の性質があり、これらの性質は素数判定などに応用されているという話です。

 3 パスカルの三角形と2項定理

 2項係数を生成する多項式(母関数)を考える。例えば

とすると、

が成り立ちます。一般に、パスカルの三角形のn段の母関数をとすると、

なので、は初項1、公比1+xの等比数列で

であることがわかりました。つまり、2項係数になっていることがわかった。

 4 パスカルの三角形の横の数列の和

 盛岡三高生が行ったユニークな証明。n人のじゃんけんで勝負がつく場合の数を考える。

 T:誰が勝つか何で勝つか考えると

 U:「ケン」が2種類なら勝負がつく

TとUは等しいことより

が得られる。

(※ じゃんけんの正式名称は「石拳」といい室町時代に中国より伝わったとされる)

 5 付録:コラッツの予想解決か?

 「正の整数nをとり、奇数なら3倍して1を加える。偶数なら2で割る。これを繰り返すと必ず1になる」というコラッツの予想が日本人により解決されたということがネット上で話題になっているらしい。この証明を下町先生が手に入れたが、チェックが困難とのこと。我ぞと思う人は連絡を!

 

●ニュートンの考えたこと                     宮本次郎(花巻北高校)

 「ファインマン力学を語る」(岩波、グッドスティーン著)に、初等幾何をつかって「惑星が楕円を描く」ことを示す内容がある。

 1 ケプラーがやったこと

  ケプラーの第3法則:惑星の周期は、惑星の軌道である楕円の長軸の乗に比例している。

 2 ニュートンが発見したこと その1

  軌道が半径Rの円の場合を考える。そうすると運動は、次のような正多角形によって近似される。また、速度も図のような正多角形で表される。多角形を無限に分割して円に近づけると、速度図は半径vの円になる。

 惑星の周期をTとすると、速度vは、

………@

となる。速度図の方のvのスピードも同様に周期Tで一周するので

………A

と考えられる。

 ニュートンの運動方程式より

この式に@、Aを代入し

さらに、ケプラーの第3法則のを代入すると

すなわち、「逆2乗則」が導かれた。

 3 ニュートンが発見したこと その2

 惑星が単位時間に点Aから点Bに動いたとする。そのまま運動を続けると、次の単位時間には点cに達する。ところが、太陽からの力を受けると力の平行四辺形の法則により、点Cに動く。三角形の等積変形により

となる。これが「面積速度一定の法則」の原型である。

 4 ニュートンが発見したこと その3

 惑星が運動する軌道がある閉曲線であるとすると、面積速度一定の法則からその速度図は図のような円になる。

 速度図上で、原点Oから点pに引いた線は、軌道図上の点Pにおける接線に平行であり、そして、∠jCpは、軌道図上の角∠JSPと同じ大きさである。次に、速度図の方向を時計回りに90°回転して、2つの図を重ねてみよう。このとき

(1)Op⊥Pt     (2)点tはOPの中点

という条件で角θを動かしたとき、直線Ptはある楕円の接線になっている。すなわち、この楕円は接線Otの包絡線になっているのである。

 これで、所期の目的であった「惑星が楕円を描く」ことが説明できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

置換積分を目で見よう                       伊藤潤一(平舘高校)

 12月に6人の生徒を相手に数学Vでの置換積分の授業したときの内容の紹介。

定積分を考えよう。これをと置換してみると。

 より  すなわち  よって

 

 x  0 → 1    この定積分の値Iは下図左の網掛けの面積になる。

             この2つの図を比較すると、置換した方は、x軸方向に−2だけ平行移

 t  0 → 2    動し、さらにx軸方向に2倍に拡大し、y軸方向にに縮小していることがわかります。よって、この2つの面積は等しくなることがわかります。

このようして、被積分関数がのときの定積分

では、と置換することによって、積分する区間はからにかわり、区間の幅はk倍に拡大(縮小)する。

また、と置換することによって、被積分関数は、からにかわり、関数の値は倍に縮小(拡大)する。積分の区間はk倍になり、一方、被積分関数の値は倍になるので定積分の値は不変になるのである。

 では、被積分関数がのときはどう考えたらよういだろうか?そのためには、定積分の定義すなわちリーマン積分(区分求積法)に立ち返って考察しなければならない。

 定積分を区分求積法で考えよう。積分の区間10等分し、x軸上に11個の分点を作る。それに対応する被積分関数の値で長方形をつくり、その和を計算し、この定積分の近似値を求める。当然、等分する数が大きくなるほど近似値の程度は良くなる。

 次に、上の定積分をと置換したを区分求積法で考えよう。置換で決まる11個の分点を作る。それに対応する被積分関数の値で長方形をつくり、その和を計算し、この定積分の近似値を求める。これも当然、等分する数が大きくなるほど近似値の程度は良くなる。

 ところで、上で作られた長方形とそれを置換して作られた長方形を比較すると、全ての対応する長方形について

長方形の横が2倍、縦が

であるので。

よって

これから、2つの定積分の値は等しいことがわかる。

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