6月例会の話題から

 

6月13日(土)〜14日(日)盛岡市サンセール盛岡で行われたサークルの様子をお知らせします.

 

● 私立文系コース選択授業…その2…

宮本 次郎(花巻北高)

バビロニアの粘土板の模様を見て,1つの正方形の対角線を1辺とする正方形の面積は,もとの正方形の2倍になっていることが説明できますか?

            

という質問を投げかけたところ,生徒たちは,ピタゴラスの定理や正方形の対角線 であることを使って説明してきた.そこで,面積が2,たての長さが1.5の長方形のよこの長さを生徒に求めさせた.すると

x ×1.5=2 などを解いて,    x=1.3333333333……

と求める.ここから,生徒たちは数字を変え

        1.6 × 1.2  = 1.92

          1.7 × 1.1  =1.87          

          1.4 × 1.4  =  1.96     などの計算をして,面積2の長方形の1辺を求めていった.

          1.41399 × 1.41398  = 1.99935802

 まで,計算した子も.

  4000年前のバビロニアでも,このように考えて正方形の1辺を計算してました.その当時は60進法を使っていたそうである.

  Step1 面積2,たて1のよこの長さは 1より大,2より小

  Step2 そこで,たて1,よこ2としてその相加平均をとると正方形の1辺のより近い値が計算できる.

    そこで3÷2を60進法で計算する

すると 1:30が得られる.

 Step3 今度はこの1:30を縦の長さとして,横の長さを求める.

       x ×1:30=2      だから      x =2÷1:30  を行う.

 

 

    すると,1:20が得られる.

 Step4 たて1:30,よこ1:20の平均1:25を たてと考えて

 Step5 よこを求める.すなわち,2÷1:25 の計算

      

 

   ここで得た,1:24:42:21:10  と先程の1:25 の 相加平均を計算して,

                         1:24:51:10:35  を得る

   実は粘土板には 

1:24:51:10   と彫られている(!!!)

 

という計算を生徒にさせてみた.

  生徒の感想を聞くと,

  ・はじおはわからなかったけど,分かったとたん60進法の計算が楽しくなった.

  ・計算が理解できなくて,すごく苦労しました

  ・結局,小学校のころは計算の方法だけ練習して,どうしてそうすると計算できるのか理解しないままできたのだ。60進法の計算ができなくてくやしい

と様々でした.

 

 

 

●方程式の解法

金濱 千明(盛岡一高)

昨年の10月の例会で,一般的な3次方程式の解法の方法のレポートをだした金濱先生が,今度は

4次方程式の解法のレポート.

  と置き換えて,

 ……@の形に変形.これを解くことを考える.

因数分解の公式を利用した関係式

……A

を考え,@がこのAの形に変形できれば,@は解けるはず.

そこで,Aの左辺を展開して

なので,これと@の係数を比較して,

を得る.これから,を消去して得られるについての3次方程式

 ……B

を解ければ,も分かり,あとはAの2つの因子をそれぞれ0と等号で結んだ2次方程式を解けば,@は解けるので,結局Bを解くことに帰着される.3次方程式は前回のレポートのようにすれば解ける.これは,フェラーリの方法と呼ばれるものである.

 

 

 

●シンプルであることは美しい

下町 壽男(盛岡三高)

1 行列式の性質

  2つのベクトル((a,b),(c,d))でできる平行四辺形の面積が|ad-bc|であることの教具を用いての説明.

 


                  (a,b)

 

 

                                             (c,d)

 

@平行四辺形を中の長方形部分を残し,        A上下,左右 の合同な直角三角形を移動させ,     

等積変形し直角三角形をつくる.             長方形の左と下に2つの長方形を作る.

                                             3つの長方形の面積の和

(縦,横a,dの長方形から

  縦,横b,cの長方形の面積を引く)

2 点と直線の距離

   直線と点との距離の求め方.

  図中の相似な直角三角形の相似を利用しての証明

  相似であることを利用して

       から     が得られる.

 

 

3 空間の結合定理と双対の原理

   3枚の名刺を組み合わせた(写真は名刺ではないが)立体を利用して空間図形の性質を説明

 

                                                  写真中の点を平面に変えても(逆でも)定理は成り立つ

 

 

●高校と大学の教育接続を重視した試験問題開発研究に携わって

高屋敷 一博(葛巻高校)

  高屋敷先生がタイトルのような研究のグループで3年間携わった資料を持ってきました.(2冊分)その中で,高屋敷先生が作題した問題がつぎのものである(元アイデアはサークル(下町先生)の「母関数」の問題である.)

 

 

この研究のシンポジュウムが8月大阪であるということで,「大学入試」に係わること,この研究に係わることで,意見が欲しいということである.興味がある方,意見がある方は葛巻高校の高屋敷先生まで連絡してほしい.

     葛巻高校 FAX 0195-66-2253    e-mail:takayasiki-kazuhiro@kuz-h.iwate-ed.ip

 

 

●期待値の実験,丁半賭博を体験する

伊藤 潤一(平舘高校)

授業で使った授業プリントの紹介

@期待値の実験

   2年生の確率の授業で,生徒にサイコロを3個あずけ,50回(以上)振らせる.

   出た1の目の数を数えさせ,全体の比率を小数で第3位まで求め,その分布を記入させる

   理論上の確率分布(これも小数も求めさせる),実験値と理論値を棒グラフに記入させ,比較するという内容.

A丁半賭博を体験する

  @の実験の授業が生徒に好評で気をよくした伊藤先生が行った実験の授業第2段!!

  今度は,サイコロを2個振って,出た目の和を調べさせ,丁(偶数)か半(奇数)かを 壺振りと博徒の2人で組ませて行った実験(ゲーム).

  博徒は5個のコイン(1円玉)を持っている.コインがなくなって破産したらゲームオーバー!

  5個だとすぐ破産するので10個ぐらいが妥当だという反省も.

  伊藤先生は生徒分の1円玉を用意するために,銀行で両替を.その際手数料を取られてしまい,サークルのメンバーからは,自分の通帳から引き出してて金種を全部1円すればよかったのに,との声も.ご苦労さまでした.

 

 

 

’03杜陵サークル7月例会の案内

 

期末考査も終わり,成績処理に忙しいところだと思います。夏のような暑い日が続いたと思ったら,肌寒く雨の降ったりと,体調管理にも大変ではないでしょうか.日頃の教育実践のためにも体だけには注意してください.

 さて,杜陵サークルの7月の例会を,下記の通り持つことにしました.今回はAMI(数学教育協議会)の東北地区の合宿研究会と合同で行います.忙しいところでしょうが,都合をつけての参加をお願いします.

 

 

1 日         7月5日(土)p.m.13:00〜 7月6日(日) a.m.12:00

2 場         国保会館  盛岡市大沢川原3-7-5    tel 019-623-4321

   (詳細は別紙     宿泊については  平舘高校 伊藤潤一まで ) 

 

インフォメーション

 

●8月9日〜8月11日に北海道大学でAMI全国大会が行われます.杜陵サークルも今のところ8名参加しようということになっています.8月7日の深夜,八戸をフェリーで出発して,8日に苫小牧,観光しながら札幌にいく予定です.県内からも多くの参加をお願いします.(要綱が欲しい人は伊藤まで)

●8月7日〜8月9日に青森 三沢で東北民教研が行われます.杜陵サークルからは初日のみネコ仙人こと伊藤が参加するようです.伊藤先生はこの後,八戸フェリー埠頭に移動して,札幌に向かいます.その関係で,民教研が寂しくなるかも?全国大会が無理という人は,民教研に参加して盛り上げましょう.

● 5月31日(土)に下河原先生が,八戸 向陵高校で行われた数学サークルに参加してきました.Excel のマクロを使ったFibonacci 数列の話と,パスカルの三角形の作成,色塗りのマクロの話をしてきました.

● 7月28日〜30日に山梨県甲府市で行われる,日教組「第14回教職員がつくる教育課程編成講座」の算数・数学教育の分科会に,現在岩手大学大学院に籍がある盛岡一高の金濱千明先生が参加します.銀林浩先生の講座があるようです.8月か9月の例会でその様子について,報告があるかも?

● 6月13,14日と杜陵サークルの6月例会を,高教組の教研推進委員会(数学部会)と合同で行いました.小宮山,伊藤,宮本,下町,金濱,小倉,川村,大内,酒井,高屋敷,下河原,更になんと!青森から中村潤委員長も登場して,12名の参加でした.

●現在,発売中の数学教室7月号は「杜陵サークル」大特集号になってます.小宮山先生の連載「数の話」は必読です.下町先生の「数学の外側にいる人達への語りかけ」,そして盛岡三高生だった亀掛川君からの問題に対してサークルメンバーがメールで証明法を寄せた「正七角形の対角線をめぐる初等幾何による7つの証明」が満を持しての登場です.8月号がでる前に本屋に急ごう!8月号には伊藤先生も執筆するそうです.これを期に数学教室を購読してみては……

●宮本先生と下町先生のWebページも忘れずに!

   下町先生のホームページ  あなたと夜と数学と  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

  宮本先生のホームページ  取れたて通信         http://toretate.fc2web.com/

 

 

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