’03杜陵サークル9月例会の案内

 

  夏らしい日がこないうちに夏休みも終わりまた学校が始まりました。サークル会員の皆様のことですから校務に追われる忙しい日々の中でもきっと授業に研究にいそしんでいるのではないでしょうか。さて、杜陵サークル9月例会を下記のとおりにもつことにしました。8月札幌での全国大会の成果も持ち寄って、有意義で楽しい例会にしたいと考えています。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭でゆく夏を惜しむ宴をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 9月6日(土)pm4:00〜

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

            数学雑談

 

インフォメーション

8月7日から8月12日まで5泊6日で、北海道大学でのAMIの全国大会にサークルでツアーを組んで参加してきました。なんと、小宮山・伊藤・下町・宮本・下河原・小倉・金濱・川村・鳩岡の9人とさらに昨年までサークル会員だった福田さんの1名を加えて10名の一行とかってない人数になりました。研究発表・講座には小宮山・伊藤・下町・宮本・下河原の5名、ポスターには下町・下河原の2名、分科会の運営には川村・小倉の2名が協力し、サークルの存在感を全国に示すことができました。また、書籍販売もサークル通信も下町・宮本も非常に好調な売れ行きでした。(「もっともってくればよかった!」の声も)

この様子は、宮本さんのホームページにのっていますので、ぜひごらんになってください。

8月7日〜9日の東北民教研三沢集会に7日だけでしたが小宮山・伊藤が参加しました。立命館大学の高垣忠一郎先生の「心の教育」をめぐっての講演、分科会初日の高橋建さん(宮城)の30数年間の実践の報告と充実した中味でした。来年は、AMIの大会と重ならないことを祈っています。

8月1日〜3日鹿児島高教組の招きで鹿児島に宮本先生が行ってきたそうです。サークルや少年少女数学愛好会の活動について話をしてきたとのことです。鹿児島市のザビエル寺に行った話がとても面白かったです。

来年度のAMI東北の研究大会は、11月29日(土)30日(日)岩手で開催される予定です。岩手大学を主会場にして、秋田敏文(深沢小)、足立久美子(田園調布双葉中)、下河原英(軽米高)の授業が予定されています。また講演は現在依頼中です。さらに、札幌から中村さんの友人のフォークシンガーを呼ぶ話も浮上しております。いずれ、近年にない内容で実施されることは間違いないようです。宣伝をしっかりしてたくさんの先生にきていただきたいものですね。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

7月例会(合宿研)の話題から

 7月5日(土)〜6日(日)にもたれた東北地区AMI合宿研の様子をお知らせします。

●水道方式に学ぶ−やさしい方法で難問も解決−(講演)      和田年央(秋田無量塾)                       

 ご存じ秋田のいや東北AMIの誇る奇人和田氏の久しぶりの講演でした。参加者は、用意した分厚い資料を縦横無尽に走り回る蕩々とした2時間の“和田節”を堪能しました。その内容のごく一部を紹介します。

『現在、学級崩壊が問題になっているが、内実は「政治崩壊」「経済崩壊」そして「日本崩壊」ではないのか?このままでは日本が“やすめられる!”(秋田弁:バカにされる)いまこそ、教育の力で救うことが求められている。その糸口は、“サンタの長靴”である。高木貞治の解析概論の90ページにある積分公式は、この“サンタの長靴”でかなりカバーできる。このような、小・中・高・大と使える方法(シェーマ)で論理的にものを考える力が、基礎学力ではないだろうか。

 また基礎学力を考える際、「方言」をどう見るかが大事である。いわゆる「共通語」は「方言」の共通部分として成立したゆえに“やせた言語”である。むしろ、「方言」のほうが“豊かな言語”といえるのではないか。つまり、「方言」と「共通語」の関係は機能の問題であり、文化の程度を表すものではない。「基礎学力」=「共通語」という図式はおおいなる勘違いであろう。真の基礎学力はむしろ“豊な方言”にこそ近いと思われる。

 数学の教師は今こそ、次の医学の格言を真摯に受けとめる必要がある。

“患者は「万巻の書」に勝る”

ヒトゲノム研究で、人間の能力は99.99%差がないことがわかってきた。このことを受けて子どもに学ぶ姿勢で算数・数学を改造することができるはず。これを、

“算数・数学のバリヤフリー計画”

と呼ぼう。このために「水道方式」におおいに学ぶ必要がある。』

 この後和田氏は、「水道方式に学ぶ」として、次の各種話題を取り上げた。みんなわかったかな?

@タイルの効用 正方形タイル→立体タイル→牌型タイル(2段積み)

A3者関係から4者関係(数字・呼び名・タイル・体)へ

Bメネラウス体操

Cデカルトの三角形と部分積分法

D差分&和分

 

対数                               中村潤(青森向陵高校)

・人間の聴覚

 聞き取るおとの大きさは、耳で受け取ったエネルギーの対数に比例する。d:デシベル、E:エネルギーとすると、

と表されるという。(音のエネルギーはどうして測るの?)静かな部屋では40デシベル、ジェット機のエンジンの近くでは120デシベルというデータがある。耳に聞こえる音の大きさは3倍になっているが、音のエネルギーは計算すると何と1億倍にもなっていることが計算で確かめられる。

・世界の大きさを認識するのに使う

 世界W(m)のスケールとしてコスモスC(cm)に変換して考える。

こうすると、微小世界から巨大世界までを−35から26までの数直線(61cmの物差し)上に表すことができる。例えば人間が原点に、原子は−10の位置に、銀河系は21の位置に表される。

 

数学文盲時代の到来か?                      山崎 昇(福島大学)

 「福島民友」新聞に次のような中学生実力テスト問題が載っていた。

『9で割った余りが4,4で割った余りが2となる最小の正の整数を求めよ。』

新聞の正答は22であったが、この解を吟味していく中で倍数の問題が明らかになってきた。中学校の教科書によれば「nが自然数のとき2nは2の倍数、つまり偶数という」と述べられている。では、0や−2、−4は2の倍数という事実はどこで教えられているのだろうか?調べてみると中学の教科書にも高校の教科書にも載っていません。当然、「倍数」も1倍、2倍、3倍…といった自然数倍しか扱っていないのです。

 さらに、中学校の教科書には「−1、−2、−3、…」が「負の整数」であるという記述さえもありません。学校ではどうやら倍数、約数、整除法は負の整数抜きに教えられているようです。

 教科書以外の参考書では「玉川児童百科大辞典1(数学)」(誠文堂新光社s58)がはっきり明解に述べているだけで、あとの参考書はいずれも不満が残る記述です。

 このようなバラバラで中途半端な知識では、数学的な見方・考え方を養うことはできません。このような状況下、いつの間にか宗教や占いの本にとって変わられ数学書が全く置いていない本屋が増えています。『数学文盲』がますます増えているように思えてなりません。

 

GC・私文系数学                         宮本次郎(花巻北高校)

 3年生の私立文系コースの選択数学の時間に「GC(Geometric Constructor)を使って定理を見つけよう!」のテーマで取り組んだ実践報告。このGCは平面幾何作図ソフトでカブリ・ジオメトリーと良く似たソフトであるが、比較的軽くフリーソフトなので授業で使いやすい。

 【授業1時間目】 

 三角形の外心、内心、傍心、重心、垂心を描く予定だったが、最初の3つで十分習熟したと判断して、その後ピタゴラスの定理の証明を考えるための作図をした。三角形の各辺の上に正方形を立てるには、点の移動 90度回転を用いた。

 【授業2時間目】

 ピタゴラスの証明を復習した後、三角形の点Aを90度でなくしたらばどうなるか考えさせた。ヒントも与えながら、なんとか、「ずっこけ3人組」のA,B,Cの3人は、ピタゴラスの定理を一般化した余弦定理に相当する事実を、なんとか発見することができた。また、ピタゴラスの定理の一般化についてはむずかしくくさっていた「めいとさつき」は、三角形の上に正三角形をたてて「フェルマー点」を発見した。

 【授業3時間目】

 証明なんかはどうでもよいから、そこにある事実を見つけるように指示をしながら、2時間目で見つけたことが、すばらしい発見であったことを紹介し褒め称えた。その後、「今日は新しい定理を見つけよう!」とフリーのセッションとなった。セッションの途中で13年前に岩手の高校生が発見した「高田の定理」をGCの画面上で紹介すると、またまた元気がでたようだ。そして、「ともとゆうこ」は、キーパーツ点の特別な場合を発見したのだが、本人たちはまだ気づいていない。どの班も「定理を見つける」楽しみにちょっと気がついたようだ。

 

 

●3次方程式、4次方程式の解法                   金濱千明(盛岡一高)

 因数分解の公式

について、aをXに置き換え整理すると

これを利用して、3次方程式を解くことができる。(カルダノの方法)

 また、4次式が

のように変形できれば、因数分解公式

で4次方程式を解くことができる。(ファラーリの方法)

 さらに、展開

について、wをXに置き換えると

これを利用して、4次方程式を解くことができる。(オイラーの方法)

 続いて、金濱先生は2次、3次、4次方程式の解の分布を複素数平面で表すことを述べています。

 

単位あたりの量                            早坂久佳(山形)

 大根と人参を手に持って大きさと重さを実感する。次にこれを水槽にいれたら浮くかどうか予想させると…

ア、                           人参も大根も浮く(11人)

イ、                           人参も大根も沈む(8人) 

ウ、                           人参は浮いて大根は沈む(8人)

エ、                           人参は沈んで大根は浮く(1人)

そこで実験。結果はエとなり、予想は大幅にはずれた。人参は軽いし細い、大根は重いし沈む。でも切ったらどうなるか?ワイワイ…と議論が起こる。

 水にごま油を1,2滴たらすとどうなるか予想させると…

ア、混じってしまう(0人)イ、ごま油は上へ浮く(多数)ウ、ごま油は下に沈む(4人)

とほぼ予想があたる。しかし、ごま油に水を1,2滴垂らすとどうなるか予想させると…

  ア、混じってしまう(0人)イ、水は下に沈む(15人)ウ、水は上に浮く(17人)

予想はほぼ2分する。そこで実験すると結果はウとなり、また議論が起こる。

 この実験の結果から水に浮くか沈むかは

重さや体積と違う新しい質の強さを表す量

が必要であることが了解される。この量は、たし算できない量で感覚の強さを表す量になる。これが1時間目の実践報告。

こうして、2,3時間目は「こみぐあい」、4,5時間目は「みのりぐあい」、6,7時間目は「密度」、8時間目「濃さと均等分布」、9,10,11時間目は「速さ」、12,13,14時間目で「まとめ」の計14時間の授業実践の報告でした。

数の話代数構造を中心として−                 小宮山晴夫(岩手大学)

 数学教室に好評連載中の「数の話」の「有理数体(1)」の予告編。

 整数のペア(n,m)(ただしm0)2項関係を次のように定義する。

この2項関係で同値類をつくり、ペア(n,m)の同値類をと表す。これに演算を定義する。

この演算に関して“可換体”になることが示せ、この可換体が有理数である。

 今後の展開を楽しみにしましょう。(頑張って読むのですぞ!)

 

置換積分を目でみよう                       伊藤潤一(平舘高校)

 以前のサークルで発表したレポートの再発表。置換積分を区分求積法のレベルで説明すると、単なる“長方形の等積変形”の仕方の問題になるなるなるという実践報告。

 

 

AMI全国大会の発表から

シンプルであることは美しい(分科会)               下町壽男(盛岡三高)

 ベクトルや線形代数、幾何のシンプルな教具の説明。

【その1】手動式アニメーション

       〜零ベクトルの説明〜

【その2】伸び縮みベクトル@A

【その3】行列式の性質

【その4】空間の結合公理と双対の原理

【その5】その他

なんといっても“手動式アニメーション” 〜零ベクトルの説明〜が面白かったです。でも、下町先生のパフォーマンスを直接みてもらわなければ、ちょっと簡単には説明できません。

 

私立文系コース選択数学の授業(分科会)              宮本次郎(花巻北高)

 3年生の私立文系コースの4月から7月までの選択数学の授業の報告。

1、             哲学の祖ターレスをめぐって…カクシリ器で測量しよう

2、             地球の大きさを測った人…エラトステネス

3、             バビロニアの粘土板…正方形の対角線の長さを60進法で計算しよう

4、             定理を見つけよう…Roll overユークリッド GCを使って

既にサークルで毎月報告されているものだが、まとめてみるとすごい圧巻ですね。

 

Fibonacci数の下2桁の周期(分科会)               下河原 英(軽米高校)

 これもサークルで発表したもののバージョンアップ版。内容はフィボナッチ数の下2桁の周期は300であることの証明。何といっても「わかりやすく、丁寧な説明」が印象的。何と70分もの熱のこもった発表は迫力がありました。さすが若手のホープMr.杜陵サークル・Simokawara

 

数の話代数構造を中心として−(数学サロン)          小宮山晴夫(岩手大学)

 数学教室の連載をまとめて聞けるチャンスでした。同値類による類別、ペアノの公理、整数・分数の代数的構造についての説明でした。丁寧でわかりやすい講義でしたが、後ろの小学校の先生は少し大変そうでした。

 

幾何教材と指導法(基礎講座)                   伊藤潤一(平舘高校)

 新課程の幾何を意識した初等幾何の講座。それにしても和田さんの“メネラウス体操”があんなにバカ受けするとは…?

1、             ウサギでもわかる2辺の和

2、             ターレスとピタゴラス

3、             円の幾何学

4、             三角形の5つの“こころ”

5、             アポロニウスの円

6、             折り紙

7、             ピックの定理

 

ああ座標平面(分科会)                      伊藤潤一(平舘高校)

 数学Uの「図形と方程式」の授業についての発表。

§1 座標平面をつくる §2 直線の式 §3 円の式 §4 円と直線アラカルト

なんとこのレポートは、発表当日の朝(2日酔いにもかかわらず)書いてコンビニで印刷したといういわく付きのもの。ああしんど!

 

円周率に隠された秘密

 教具展でおもしいものを見つけた。それは、広島の中原克芳さんの“3.14”の鏡像のプリント。

『私は円周率についてかって知られていない真に驚嘆すべき事実を知ってしまった。それは人間の思いこみを根底から覆すものであり、できるならば封印しておきたかった。…略…』

 私は、あのマグリッドの不思議な絵を思い出してしまった。さすが天才・中原ならではの作品である。

 

 

 

 

 

 

 

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