9月例会の話題から

 9月6日(土)にもたれた9月例会の様子をお知らせします。

●三角形の五心の位置ベクトル                    下町壽男(盛岡三高)                       

 三角形の五心の位置ベクトルを紹介。いずれもとても綺麗なフォルムですね。

 1 重心G  

 2 内心I  

 3 外心P  

 4 垂心H  

 5 傍心

 6 オイラー線のチョウ簡単な説明

 外心をOとすると、となる。ここで、とすると、簡単な内積の計算で

がいえる。よって、点Xは垂心である。外心をO、重心をG、垂心をHとすると

 これより

OH:OG=3:1

 である。

作業を取り入れたグラフを作図する授業              鳩岡史朗(紫波高校)

 3年生の選択数学Bで「2次関数のグラフ」の復習の授業を次のようにした。

@ 事前テスト

  意外に最も簡単な1次関数y=xのグラフがかけない。                            

A 2次関数のグラフをかいて絵を完成させよう。

   「のびのび数学」の絵を使ったが、ほとんどの生徒は最後まで完成 

  できなかったが、最後まで完成させた生徒もいた。

B 2次関数のグラフをかいて完成させた絵を確認しよう。

  絵を確認するために、フリーソフトのGRAPESでかいたグラフを

  スクリーンに投影した。

C 自分のオリジナルをつくろう。

  グラフを組み合わせて自分の絵を作らせた。「2次関数のグラフ」でかかせようとしたが、

  生徒達は「1次関数のグラフ」や「円の方程式」で学習したことも使って絵をかいた。

  生徒の感想「数学でこのような遊びができるので、数学はすごいと思った」「2次関数で  

    絵がかけることを初めて知った。意外とおもしろかった」などの肯定的なものが多かった。

  D事後テスト

    正解率が大幅に伸びただけでなく、グラフに対する抵抗感が“和らいだ”と思われる。関数

    の定義域があるグラフも正確にかけるようになった。

桜雲祭「数学展示研究発表」(少年少女数学愛好会)        宮本次郎(花巻北高)

 今年度の花巻北高校の文化祭での「少年少女数学愛好会」の発表についての報告。内容は…

 1 正多面体の研究(色分けと群)      ゆうや

    正n面体をn個の色で塗り分ける方法を考える。

    正4面体…、正6面体…、正8面体…、正12面体…、正20面体…

    分子はわかる、しかし分母は?実はこれは多面体の群の位数を表しているということです。

 2 正五角形について            よしえ

    方程式を解いて正五角形の5つの頂点の座標を求めたり、半径1の円に内接する

    正五角形の対角線の長さと面積を求めたりした。

 3 定積分の一般化について せいこ

    いろいろなケースを帰納してを見つけた。

 4 ピアノの調律と数学           あやめ

    ピアノの調律師をめざして勉強中の卒業せいの寄稿。純正律と平均律をめぐる話題。2人の

    対話形式がとても魅力的。

 5 坂道の研究              あやことひろみ

    自分たちが毎日毎日通っている坂がどのように上がり下が

    りしているか加速度計で重力を調

    べたり、かくしり器で調べたりしたもの。とても面白い!

 6 植物の葉について            るみことかな

    植物の葉は回転しながらつき何回転かに一度重なる。2枚

    目で重なる「ナルコユリ」、3枚目で重なる「ヨモギ」、5

    枚目で重なる「ノコンギク」、8枚目で重なる「サワラン」

    を調べた。この2,3,5,8,…の数列はフィボナッチ

    数ではないか!

ルーローの四面体の作成                      宮本次郎(花巻北高)

 私立文系の数学の授業(第5話)等幅立体つまりルーローの三角形の空間バージョンの作成の話題。サークル当日、あらかじめ宮本先生が作った型にシリコンを流し、しばらく待った。待つこと数分、固まりはじめたことを確認して外枠を取り外したら、真っ白で綺麗なルーローの四面体ができた。感激!花巻北高の文化祭ではたくさんのルーローの四面体を板の下に敷いて板が水平方向に滑らかに運動することを確かめたという話です。

●素数が無限個あること(ζ関数を用い                金濱千明(盛岡一高)

 T 等比級数から

 初項1、公比の無限等比級数は、で収束し

 ここでnに素数を小さい順に代入した式を書き出すと

…………

  となる。これらの両辺を全て乗ずると

左辺:   右辺:

 U s=1とすると

 左辺が無限大に発散することはよく知られているので、もし素数が有限個しかないとすると右辺の

 値は有限値になるはずであるから、この式は素数が無限にあることも示している。

サイン・コサインのぐらふ                     伊藤潤一(平舘高校)

 2年生のA組とB組の数学Uの三角関数のサインとコサインのグラフの授業の5時間分の流れについてのレポート。

 1時間目は、 のできるだけ精密なグラフを描きます。サインカーブは上下運動に水平運動を加味することで得られる話をして、腕を上下しながら黒板の前を行ったり,きたりしして実演します。(授業の最後にサインカーブでお別れも楽しいですよ)

 2時間目、3時間目は、いろいろなサインカーブのグラフを描きます。

 そのため基本的なの変化のパターンを確認します。サインとは「0,1,0,−1,0」を生み出す関数で、コサインとは「1,0,−1,0,1」を生み出す関数と考えます。

 例えば、のグラフは、次のような3段の対応表を作り、点をプロットして描きます。

     θ

 0°

45°

 90°

135°

180°

    2θ

 0°

90°

180°

270°

360°

 sin2θ

 0

 1

  0

 -1

  0

 

 この対応表は「サインする」対象の第2段から始めることを注意します。グラフを観察して2θで「横軸方向に半分に圧縮する」効果を上げ、周期が180°になっていることを確認します。

 こうして、このグラフもサインカーブになることを確かめます。

 4時間目は、tanθのできるだけ精密なグラフを描きます。

 サイン・コサインのグラフの終わりに付録として、のグラフを考えます。のグラフは、対応表より次のようになります。

 θ

0°

45°

90°

135°

180°

225°

270°

315°

360°

cosθ

1

 0

 -1

  0

  1

1

 

 0

 

  1

 

  0

 

  1

これより、の半角の公式にあたるものが得られます。これから倍角の公式も得られます。グラフからこのような関係を予測ことも意味があると思います。

 

’03杜陵サークル10月例会の案内

 

 めっきり秋らしくなってきました。遠のく赤い火星を見送り感慨を覚えるのは私だけでしょうか。サークル会員の皆様のことですから校務に追われながらも学業の秋・スポーツの秋・芸術の秋・味覚の秋を楽しんでいるのではないでしょうか。さて、杜陵サークル10月例会を下記のとおりにもつことにしました。今回は数学教室(国土社)の特集「授業研究」に協力するということで盛岡三高の下町先生の複素数の授業を参観し、その授業についての研究会(座談会)を行うという変則的な持ち方になります。あの“シモマッチ”の授業を見られるなんてなんとラッキーなことでしょう。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“慰労会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 10月10日(金)pm2:00〜4:30

2 場      所 盛岡第三高校 盛岡市高松4−1716  TEL 019-661-1735

3 内    容 研 (複素数)  2:00〜2:50

              授業 研究会       3:00〜4:30 

 

インフォメーション

9月14日(日)〜15日(月)仙台の茂庭荘で全国中学校集会がもたれました。サークルから小宮山・伊藤・下河原・宮本の4人が参加し、交流会の飲み物の買い出しなどの手伝い。宮本さんなどは“虫眼鏡カメラ&距離計”のレポート発表までする活躍。講演は野崎先生の「数学がわかるということ」、ルイス・キャロルのパズル“日付変更線の謎”の話は面白かった。京都の堀井洋子さんの“折り紙”、高知の和田さんの“中学校関数教材の学習プラン”もとても参考になるものでした。東北地区協の絶大な協力もあり約60名と例年より多い参加者だったようです。事務局の岩澤さんお疲れさまでした。

9月23日(火)岩手大学教育学部で公開セミナー「数学の美しさを体験しよう」がありました。サークルから小宮山先生が「天秤」、下町先生が「ペントミノパズル」、下河原先生が「小数の色塗り」、宮本先生が「放物線の変形」、金濱先生が「石鹸膜でシュタイナーのネットワークの実験」の展示・実演に協力。講座は飯田先生(人文社会学部)の“蜂の巣穴はなぜ六角形なの?”と沼田先生(教育学部)“ゲームの中の数学”。どちらも興味を引く内容でした。特に“リーグ戦の試合の割り振り”は面白かったです。これに無限遠点がからんでいるとは…!

9月27日(土)に久しぶりに岩手県AMIの事務局会議。11月末の東北大会についての打ち合わせをしました。ところで10月11日(土)3:00に“コミケン”に集まって、要項の発送作業をすることになりました。都合がつくなら協力お願いします。

11月29日(土)30日(日)のAMI東北の研究大会の講演が確定しました。講師は瀬山士郎先生(群馬大)、演題は「僕が数学を勉強する本当の理由」です。小・中・高の授業者もレポート発表者も全員決まりました。さらに中村潤さんの旧友のフォークシンガーを呼熊谷章三氏(札幌在住)もくることになりました。いずれ、近年にない内容で実施されることは間違いないようです。宣伝をしっかりしてたくさんの先生にきていただきたいものですね。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

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