’03杜陵サークル12月例会の案内

 岩手山も中腹まで冠雪です。いよいよう冬がやってきました。サークル会員の皆様には師走の候、相変わらず元気で数学しているでしょうか。11月29日、30日のAMI東北大会はサークル会員の皆様の協力により大成功のうちに終了できました。お疲れさまでした。さて、休む間もなく今年最後の杜陵サークルの12月例会を次の日程でもちます。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“望年会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 12月13日(土)pm4:00〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

            数学雑談

 

インフォメーション

11月29日(土)、30日(日)岩手大学教育学部と岩手第一ホテルでAMIの東北大会がもたれ、教員・OBで約70人、児童・生徒約70人、父母約20人の参加で大盛況でした。今回の目玉であった研究授業は小学校:秋田先生(東京)、中学校:足立先生(東京)、そして高校は我等がサークルのホープ下河原先生とも活気溢れるとてもよい授業ができました。

分科会では、鳩岡先生の「積分の導入」、小倉先生の「三角形の五心」、金濱先生の「平均の幾何学的意味」、宮本先生の「ルーローの回転体」と下町先生のビデオ「生徒とともに考える進学校における授業」の発表がありました。

さらに下町先生はポスター「北海道の重心など」でも発表。ホテルでの交流会では、川村先生の司会のもとでなごやかに進行。そしてアトラクションでの下町先生の本邦初公開のピアノ「レット・イット・ビー&ド・レ・ミの順列」の熱演が拍手大喝采。次の日は瀬山先生の講演「僕が数学を勉強した本当の理由」は彼の小学校時代からの3目並べに始まる『数学的経験』の話。

彼個人の体験の話なのに「なぜ数学を学ぶのか?」という問いかけの一つの解答になっているという。ワクワクするような中味ですした。次年度の東北大会は山形県で開催されるということです。

11月7日(金)第52回東北地区算数・数学教育研究(岩手)大会が盛岡三高でもたれ下町先生がまたまた公開授業。今回は複素数平面を舞台にした“何となくフラクタル”。前月の数学教室の研究授業の続編でとても楽しい授業でした。また、葛西先生や鳩岡先生も研究発表!杜陵サークルもだいぶ貢献していますねー。

11月14日(金)〜15日(土)花巻温泉で岩手高教組教研集会(教科別)がもたれ、数学分科会は参加者20名を超える参加。しかも発表レポートが10本。おまけに若手の参加者が目立つとても活気ある教研集会でした。今年度の日教組教研には、金濱先生が「高次方程式」のレポートで参加します。司会者の川村先生ともども頑張ってください。

1月7日(土)、8日(日)に岩手民教研冬の集会が予定されています。今回の集会はなんと気仙のようです。すこし遠いですが岩手の中では温暖で海の幸も豊富なところです。たくさん参加してもらえたらと思います。詳しい要項は後ほど出るはずです。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

 

10月例会Part2の様子

 10月25日(土)の杜陵サークル10月例会PART2の様子をお知らせします。

●三角形の内心・傍心・垂心の一性質                 宮本次郎(花巻北高校)

ABCの内心をIとすると、

 が成り立つ。

 また、△ABCの傍心をJとすると、

 

 

 

 さらに、△ABCの垂心をHとすると、

が成り立つ。

 △ABCの外心をOとすると、円周角の定理から当然

が成り立つ。

これより、△ABCの頂点Aが外接円上を動くとき、この三角形の内心、傍心、垂心、外心もBCとそれぞれの心とで作られる三角形の外接円周上を動くことがわかる。(外心は円周上にとどまる)

 この性質はちょっと授業やテストで使えるよい教材になりそうですね。

●モーフィングのススメ                      下町壽男(盛岡第三高校)

 まずは、三高の2学年通信「数学だいすきさ」10号、12号、13号の紹介。内容は9月23日の岩手大学公開セミナーの報告が中心です。そして、いま話題の「モーフィング」。

 一歩の動点は円周上を一回転し、もう一方の動点はこれとタイミングを合わせて正三角形の周上を一回転する。このとき、この2つの動点を結んだ線分の中点はどのような軌跡を描くだろうか?

 この結果、円と三角形の「あいのこ」図形(丸い三角形or 角張った円)ができる。このような2つの全く違った図形の中間画像をつくることをモーフィングという。

 今度は、サインとコサインのグラフでモーフィングすると…。

なんと、またサインカーブになる。 

 また、増加する指数関数と減少する指数関数のモーフィングすると、すごい懸垂線が得られる。これらのモーフィングは、まず“ザビエルのゴム”で実験して様子をつかむことが有効である。そして、コンピュータ・ソフトを利用していろいろ遊ぶことができる。

 

●8つに切られたピザ                       金濱千明(盛岡第一高校)

 図のように8つに切られた宅配ビザを2人で食べる。このとき「隣り合っているピースを交互にとっていけば同じだけ食べられる」ことを初等幾何的に示す。

 積分を使ってもできると思われるが、もっと直感的な方法がある。

 下の図において「分割線を1本だけ動かさないような対称変換」(T変換と呼ぶ)で斜線部と残りの部分を同じ面積だけ相殺していく。

 小さい4つのピースを相殺すると次のようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに右上に伸びる分割線でT変換し、図のように等積変形し相殺して残った部分が最後の図です。ここまでくるともう明らかです。

 

 

 

 

 

 

 

 

●ボイラーの問題                          下河原 英(軽米高校)

 用務員さんから次のような相談を受けた。

『学校のボイラーは図のような円筒形を横にしたような形で、体積は 21 である。油の膨張を考慮すると 15   までしか入れられない。どこまで入れられるか。』

 体積は側面の円の弓形の面積に比例するので、図のように単位円の斜線部の面積を考える。この弓形の面積は

となる。これが、円のになればよいので。

 すなわち 

これをMathematicaFindRoot関数で解くと

すなわち約220°となる。これより、タンクの高さの0.719だけ油を入れればよいことがわかる。

 FindRoot関数などの「重火器」を使わなくても、の回りにテーラー展開すると

3次以降を無視して方程式解く(なんと1次方程式になる)と、

すなわち約すなわち約219°となる。実際上はこれで十分である。

 

●反転とヘロンの公式〜逝ける王女複素数のためのパヴァーヌ〜      宮本次郎(花巻北高校)

 ヘロンの公式の変わった証明の紹介をする。この証明のアイデアは岩手大学の沼田先生から教わったそうです。ここで「反転」と呼んでいるのは、複素数の変換

のことです。つまり、単位円を反転円とする変換のことです。ヘロンの公式に直接かかわる性質を挙げるます。

(原点を通る円)

は、この反転で直線に移る。

(原点を通らない円の反転)

 原点を通らない円Cと原点と円の中心を通る直線lとの交点をP、Qとする。原点に近い方をPとし、この円を反転した円の半径をrとすると、次の式が成り立つ。

(ヘロンの公式)

三角形ABCの面積Sは、

ここでとする。

 右図のようにすると

また、

である。内接円の半径をrとすると

であるから、証明すべき関係式は、

すなわち、

である。

 点Dを原点として内接円と3つの傍接円と辺BCを「反転」する。

・辺BCをx軸上にとれば反転によってそれ自身に移る。

・円は、辺BCに垂直で点Dからの距離がそれぞ

 れである直線に移る。

・内接円は、辺BCに平行で辺BCからの距離が

 あるような直線に移る。

こうして、右図において、△ODMが直角三角形であるので、

また、

より上の関係式が導かれるという。(各自こころみよ!)

 

●三角関数表をつくろう                        伊藤潤一(平舘高校)

 2年生のA組とB組の数学Uの三角関数の加法定理の応用として三角関数表を作成した授業を報告です。1°きざみの表はちょっと苦しいので小数第6位までのサイン・コサインの3°きざみの表をつくる。

 まず、0°、90°、30°、45°、60°、15°と75°の値はいままで授業で求めた厳密値をもとに電卓を使ってこれで簡単に求められる。これでとりあえず15°きざみのサイン・コサインの表ができた。15°きざみより細かいきざみの表を得るには、他の角度の正確な値を求めなければならない。そこで、正五角形の1辺と対角線の比が求められ、それから直ちにコサインの36°の値が求められる。この36°のコサインの値の発見を基にして加法定理を駆使して3°きざみの三角関数の表が作られるのである。

 コサイン36°の値を電卓で計算すると

が求まる。サイン36°やコサイン54°は、三角関数の相互関係を使って求める。

 この36°のサイン・コサインの値を使って加法定理で6°のサイン・コサインの値を求める。

 12°のサイン・コサインの値を求めるよう。

12°の値が出れば、3°の値がわかる。

後は今までの値を基に、加法定理や相互関係、余角の公式を用いて電卓を駆使して三角関数表をどんどんうめていけばよいのである。

 三角関数表が完成すれば、なんともいえない満足感を味わうことができる。(ほとんどの生徒は自力で完成させることができた。

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