’04杜陵サークル1月例会の案内

 雪のない穏やかな正月を迎えましたが、学校では年度末を控え慌ただしい日々を送っているのではないでしょうか。サークル会員の皆様、明けましておめでとうございます。今年も元気で数学いたしましょう。さて、今年初の杜陵サークルの1月例会を次の日程でもちます。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“新年会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 1月31日(土)pm4:00〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

                  岩手民教研の報告、日教組全国教研集会の報告

                  数学雑談

 

インフォメーション

1月10日(土)、11日(日)気仙の世田米小学校と気仙キャピタル1000ホテルで岩手民教研冬の集会がもたれました。岩手県の端にも関わらず全体で230人ほど集まりました。講演の坂本光男先生の「荒れた女子中学生との人間的関わりの話」は実に、感動的でした。どんな生徒とも人間的関わりを保つことは教育の根幹の課題だと思いました。サークルからは、伊藤先生、下河原先生が参加。伊藤先生は「三角関数表を作ろう」と「累乗根を計算しよう」を発表しました。また、中学校の千葉先生の確率実験がとても参考になりました。(今回のサークルで紹介します)

1月24日(土)〜26日(月)埼玉県での日教組教研集会の数学教育分科会のレポーターとして金濱先生、分科会司会者として川村先生が参加する予定です。多分今度のサークルで、その様子が聞けると思います。乞うご期待!

2月8日(日)〜9日(月)に東京でAMIの全国研究集会がもたれ、岩手から伊藤先生、木下先生が参加する予定です。この集会の今回のねらいは数学教室2月号の特集にあるように、現行指導要領路線を乗り越えた「自由な実践」の夢を語るものです。数学教育の現状をうち破るような“楽しく夢のある”実践のアイデアを持ち帰れたらと考えます。

お待たせしました!数学教室3月号(2月はじめ発売)は高校研究授業の特集で、三高での下町先生の授業がドーンと載ります。ユニークな授業案(シモマック風マニフェスト)や金濱先生が苦労して起こした座談会、そして授業と座談会に参加された先生達の写真も掲載されますので出来上がりがとても楽しみですね。

3月27日(土)、28日(日)に長野県の諏訪湖のほとりでAMIの全国高校研究集会がもたれます。一昨年に花巻でもたれた集会の後を受けた集会です。杜陵サークルからも宮本先生や伊藤先生が「出演?」する予定です。集会の案内は多分、2月はじめ頃に届くと思われます。年度末で大変な時期ですが、皆で出かけませんか?楽しかった北海道の旅の再現になるかも?

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

 

12月例会の様子

 12月13日(土)の杜陵サークル12月例会の様子をお知らせします。

●数を上手にかぞえよう!                       鳩岡史朗(紫波高校)

 今月はこんな授業をしてみました。3年A組の数学A数列の授業で題材は「数を上手にかぞえよう!」というものです。

 問題は「1,3,5,7,…」を下の図のような「グノモン形のタイル」を方眼紙を切り取って、並べ、第10番目の数を類推するというもの。その考察を、プリントにまとめて提出させた。ほとんどの生徒は2づつ増えていることを発見して、10番目の数を見つけた。さらに、このタイルを並べていくと正方形ができることを発見して総和の方法を考えた者もいた。

 

 

 

 

 

 

 生徒の感想は「楽しい授業だった」「以外と奥が深いと思った」「ちょっとした法則になっている」「頭をフル回転させて考えたら、神様が教えてくれました」などとても前向きなものが多かった。

 この後、次の図のような類題をとりくんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 等差数列やその和を図形的に考え、作業を取り入れることの意義を再確認できました。

 

●内心・傍心と三角形の面積                      下河原英(軽米高校)

 内接円について次のような性質があることを、「SEG数学シリーズ16」で見つけた。すなわち、面積Sの△ABCにおいて、各辺に平行な内接円の接線が△ABCから切り取る三角形の面積をそれぞれとするとき、次の美しい式が成り立つ。

 

 

同様のことを、△ABCの傍接円に対して考えよう。つまり、面積Sの△ABCにおいて、各辺に平行な直線によってできる傍接円の3つの外接三角形の面積をそれぞれとするとき、次のさらに「美しい?」式、『面積の平方根の逆数の和』が成り立つ。

これは初めてみる関係かもしれない!ところで、図の内接円と傍接円に外接する4つの三角形は、相似になるので、それぞれの円の半径をとすると

が成り立つ。これは、数学事典、幾何学事典などにのっている比較的有名な関係である。図形・空間の意味がわかる(ベレ出版)に載っている。下河原先生は、この面積バージョンを見つけたようです。すごいですね!

 

 

 

●四面体の中心                           宮本次郎(花巻北高校) 

 AMI東北大会での足立先生の折り紙による三角形の五心や小倉先生の解析幾何やベクトル、複素数での三角形の五心の発表に触発されて、空間の四面体の五心を考えてみた。

・四面体の重心:

 「四面体の各頂点と向かい合った面である三角形の重心とを結ぶ線分は1点で交わる。この点を四面体の重心という。」

・四面体の外心:

 「四面体の4頂点をとおる球がただ一つ存在し、この球の中心を四面体の外心という。」

・四面体の内心:

 「四面体の中にあり4つの面に接する球面がただ一つ存在し、この球の中心を四面体の内心という。」

四面体の傍心:

「四面体の外にあり4つの面(あるいはその延長)に接する球面がただ一つ存在し、この球の中心を四面体の傍心という。」

 ここまでは調子よかったが、垂心はうまくいかない。一般の四面体では、各頂点から対面に下ろした垂線は1点で交わらないのである。では、この4垂線が1点で交わるような四面体はどんな四面体だろうか?それを与えるのが次の定理である。

 定理:四面体ABCDにおいて、

AB⊥CD、AC⊥BD、AD⊥BC………@

 のとき、各頂点から対面におろした4本の垂線は1点で交わる。

 条件@を満たす四面体を「垂心多面体」あるいは「直陵四面体」という。すなわち、四面体の垂心は垂心四面体でしか存在しないことになる。つまり、

『垂心多面体は重心、外心、内心、傍心、垂心の5心をもつ』

 

●余弦定理の拡張とヘロンの公式                   宮本次郎(花巻北高校)                           

 宮本先生の「ヘロンの公式の証明」のコレクションにまた一つ増えた。今回は、垂心四面体を利用したものである。その概略を述べよう。まず、余弦定理の空間への拡張をする。

 定理(余弦定理の拡張)

 四面体OABCにおいて、4つの面の面積と、4つの面から取った2つの平面のなす角とすると、次の関係が成り立つ。

 ここで、∠AOB=∠BOC=∠COA=90°のときは、次の4平方の定理が成り立つ。

 ∠DAB=∠DBC=∠DCA=90°であるような四面体(垂心四面体)において、△ABCの面積をS、DA=x,DB=y,DC=zとすると、4平方の定理から

が成り立つ。また、

これより、

が導ける。これより、

が出てくる。これはまさにヘロンの公式ではないか。

 

●第3期考査の問題から他                     下町壽男(盛岡第三高校)

 下町先生の理系数Vの第3期末考査問題から幾つか紹介します。シモマッチのセンスが光りますね。まずは、フラクタルの問題。

 問題7

 下に示す図は、シェルピンスキーのギャスケットと呼ばれる有名なフラクタル図形の1つである。第1代の図をAとし、これは1辺1の正三角形である。このときの黒塗りの部分の面積をSとする。Aの各辺をに縮小し、これを3つ集めたものをAとしその黒塗りの部分をSとする。また、Aの各辺をに縮小し、これを3つ集めたものをAとしその黒塗りの部分をSとする。以下同様にして、A,A,A,…を作る。このとき次の問に答えよ。(8点)

(1)     、S、Sを求めよ。

(2)     をnの式で表し、を求めよ。

 さすがですね。日数教の東北大会の研究授業で生徒が「シェルピンスキーのギャスケット」を知っていたでビックリしましたが、なるほどですね。つぎの無限大・無限小の問題も面白いですね。でも生徒のできはあまりよくなかったそうです。「“良問”は口に苦し」ですね。

 問題2

 次の文章は、マサ君とマチ子さんのマサマチックス(Mathematics)に関する素敵な会話である。マサ君の会話の□に適する例を1つ入れなさい。(各2点×3=6点)

(1)マチ子「∞−∞って0よね」

   マサ「ダメだよ。例えば、なのに

となるだろ。」

(2)マチ子「0×∞は0よね。」

   マサ「違うだろ。例えば、なのに

となるだろ。」

(3)マチ子「は∞がいっぱいあるから∞かしら、それとも約分して1かしら。」

   マサ「何考えてんだよ。例えば、なのに

となるだろ。」

 

●空間内にある2直線の回転体                   金濱千明(盛岡第一高校)

 3次元空間でOを原点とするxy平面上の単位円周上の点A(cosθ,sinθ,0)に対して、OAに垂直な2直線の方向ベクトルとして(-sinθ,cosθ,±1)をとると、この2直線上の点(,,)の座標は

 (tは媒介変数)

ここで、この式からθとtを消去すると、

という一葉双曲面の方程式が得られる。

 この一葉双曲面上の点を通る2直線を方向ベクトルのzの符号に合わせて、z=1である直線の集合をg、z=−1である直線の集合をgとおき、gggとおく。このとき、次の命題が成り立つという。

命題 直線gg、ggのとき、直線gとgは交点を持たない。

       直線gg、ggのとき、直線gとgは交点を持たない。

       直線gg、ggのとき、直線gとgは1点で交わるか平行である。

 さて、xy平面上の単位円周上の異なる6点をとり、上の性質を利用してブリアンションの定理を鮮やかに証明しようというわけだが、詳細は次回以降にしよう。

 

●累乗根の計算                            伊藤潤一(平舘高校)

 指数関数の授業の流れの中で、指数の拡張のところで累乗根が出てくる。多くの教科書では、分数指数の定義(説明)に累乗根を使っている。ところが、と説明されても、肝心の立方根自体がよくわかっていない(なじんでいない)ので、この定義式は、

「分からないモノを、別の分からないモノで説明」

したにすぎない。そこで、指数の拡張に先立って、平方根、立方根、4乗根、5乗根、……の累乗根に馴染む指導をすることにした。「累乗根に馴染む」ためには、まず具体的な値を計算できることが必要である。

 10分法を立方根に適用する。の計算では

 (整数のレベル)  (0.1のレベル)   0.01のレベル)    (0.001のレベル)      (0.0001のレベル)

であるので、約となる。

 次に繰り返しの計算で3乗根を求める。この計算は、はじめに初期値を与えて、×、2、=、√、√を繰り返すのである。繰り返せば繰り返すほどよい近似値が得られる。例えば、の計算では

 @1         …………1.000000000

 @×、2、=、√、√ …………1.189207115

 A×、2、=、√、√ …………1.241857812

 B×、2、=、√、√ …………1.255380757

 C×、2、=、√、√ …………1.258784439

 D×、2、=、√、√ …………1.259636801

 E×、2、=、√、√ …………1.259849982

 この繰り返し計算でどうして立方根が求まるのだろうか?それは、

のようにして次々と近似値、を計算する。ずーと計算が進むと値がほとんど動かなくなってしまう。その値をαとすると、

これより、すなわちがわかる。

 繰り返しの計算でAの5乗根を求めるには、はじめに初期値を与えて、×、×、=、=、×、A、=、√、√、√を繰り返すのである。繰り返せば繰り返すほどよい近似値が得られる。同様にして、また、Aの7乗根は、はじめに初期値を与えて、

×、A、=、√、√、√

を繰り返すのである。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送