’04杜陵サークル2月例会の案内

 立春がやってきましたが、まだまだ冬将軍は立ち去る気配さえみせません。でも朝夕の日が長くなっているのは確実に感じます。確実に季節はまわっているのですね。サークル会員の皆様、この寒さの中いかお過ごしでしょうか。多分、学校では年度末を迎え一層忙しい日々を送っているのではないでしょうか。さて、杜陵サークルの2月例会を次の日程でもちます。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“プレ雛祭りの会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 2月28日(土)pm4:00〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

                  数学雑談

インフォメーション

お待たせしました!数学教室3月号が発売されました。今月号の目玉は何といっても高校研究授業でしょう。三高での下町先生の授業がドーンと載りました。ユニークな授業案(シモマック風マニフェスト)や金濱先生が苦労して起こした座談会、そして授業と座談会に参加された先生達の写真もなかなかです。早くも「授業案がおもしろい!」「すごい生徒達ですね!」という絶賛の声が聞こえてきます。サークル会員は必読でしょう。

また、この3月号で小宮山先生の連載「数のはなし」が終わります。難しいところもありますが12回分ぜひ通読したいものですね。

1月24日(土)〜26日(月)埼玉県での日教組教研集会の数学教育分科会のレポーターとして金濱先生、分科会司会者として川村先生が参加しました。金濱先生のレポートは、なんとあの超厳しい助言者の今井先生に好評だったとか。

2月8日(日)〜9日(月)に東京でAMIの全国研究会議がもたれ、岩手から小宮山、宮本、伊藤、下河原、木下が参加しました。「内包量から微積分」「割合をどう位置づけるか」「量・数・式の計算」の3つの分科会がもたれました。どの分科会も面白かったようですが。特に「割合」の分科会は「量×量」と「量×数」の区別をめぐって大論争だったようです。

この全国研究会議に先立つ全国委員会で今年2004年の「飛騨高山大会」、2005年の「広島大会」に続いて、2006年に全国大会を岩手県で開催することが確認されました。これを受けて、早速大会のアウトラインのプランニングをしなければならない状況です。サークル会員の皆様にも多大なるご協力をお願いすることになりそうです。

3月6日、7日、下町先生が、名古屋の西三サークルの学習会の講師に出かけます。シモマックの活躍を期待!ところで、なんとこの費用はAMI中央予算(2003年の特別活動費)でまかなわれるようです。ということは…。

3月27日(土)、28日(日)に信州・上諏訪温泉でAMIの全国高校研究集会がもたれます。一昨年に花巻でもたれた集会の後を受けた集会です。杜陵サークルからも宮本先生や伊藤先生が「出演?」する予定。申込み〆切は3月6日です。年度末で大変な時期ですが、皆で出かけませんか?

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://toretate.fc2web.com./toretate/

 

1月例会の様子

 1月31日(土)の杜陵サークル1月例会の様子をお知らせします。

●統計をとってみよう                    高屋敷一博(葛巻高校)

 高屋敷先生の久しぶりの登場!今回は「実際に統計をとってみよう」ということで、「データを収集し、分析をする力を身につけた君たちにふさわしい冬休みの課題」=「テーマを決めてデータを50個収集し、度数分布表をつくり、平均、分散、標準偏差を求め感想を書くというもの」生徒の取り組んだ主なテーマは

・一円玉の発行年数 ・足にサイズ ・本の値段 ・1日のメール送信文字数 ・ミカンの重さ

・今まで受けた数学のテストの点数 ・好きな歌手の曲の長さ ・姪が持っていたぬいぐるみの重さ

などなど多彩…。ほとんどの生徒が取り組んでくれたとのこと。ユニークなテーマもあり面白い。

 そして、統計の授業プリントの紹介。「テレビの視聴率はどうやって調査しているのか?」

 昨年10月の日本テレビのプロジューサーの視聴率操作事件を取り上げた。

 ビデオリサーチ社のモニター数は関東で600世帯、このプロジューサーが依頼し謝礼を払った世帯が12世帯ということから次の問題を考えさせた。その番組がもともと視聴率15%だったとし、12世帯が今まで視聴していなかったと仮定して、その番組を見たとしたら視聴率は何%になるだろう。

 つまり2%アップで視聴率17%ということになる。1月のある週の関東の視聴率は9位から17位までわずか2%の範囲にひしめいている実態を考慮すると順位の大幅アップは間違いない。つまりかなり有効な「買収行為」と見なせるという。

 「5千万分1の偶然、3姉妹同日出産!」米国ユタ州の大学のコンピュータの教授の娘は、3人姉妹とも同じ日に出産するという偶然起こったという。この偶然が起こる確率を学生に計算させたら約50000000分の1と計算した。この計算、どこかおかしくない?
 この数字は、単純に、

と計算したものだが、これは特定の日(例えば1月1日)に3姉妹が生まれるとしたときの確率で、1年間のどの日でもよいとすると、

となる。よーく考えよう、数字は大事だよ♪

 ※度数分布表をつくるとき、「階級数と階級幅をどのように決めるか」という話題がでた。後で調べたら、階級数n、階級幅hは、次のような記述が見つかった。(実用近代統計学:石川栄助著)

Sturgesスタージェスの階級数)

(切れ目のよいhを選定)

 

 

●内心・傍心の話                        下河原英(軽米高校)

ABCの内心Iのベクトル表示は、3辺の長さをa,b,cとして

であるが、このことをもとにして傍心のベクトル表示を導こうというもの。

 図のように△ABCの傍心は、の内心であることに着目。この3辺の長さをとして、

より

また、2つの三角形の相似比がであるので

これを代入して、整理すれば

が得られるという。なるほど!

 

●「六項おろし」の定理ほか                 下町壽男(盛岡第三高校)

 10年以上前に作っていた定理を阪神タイガースの優勝にちなんで「六項おろしの定理」とリネームして紹介。

【六項おろしの定理:by Simomacci

 n個のサイコロを投げて目の和がmになる場合の数をとすると

 例えば、サイコロを10回投げて、10回の目の合計が26になる場合の数は、次のようにして求められる。

25→19→13の公差が−6であることを称して「六項おろし」と呼んだという。すごい定理ですね。ちなみにこの証明は、

を展開した係数を考えるという。挑戦してみませんか?(Simomacci先生得意の母関数を駆使する)

 

「電卓が教える数学シリーズ」

 100円ショップで買った8桁電卓を縦横につかって、数学のいろいろな場面を楽しもうというもの。

操作@ 1÷3÷3÷… →0  (のとき

操作A 3√√√… →1    (

操作B 2+1=√ +2=√ +2=√ … →2(のとき

操作C a×2=√√ ×2=√√ … →1.2599… (

その他に

循環節の長い循環小数を8桁電卓で計算する方法

正2n角形の周を計算して円周率πを計算する方法

ウォリスの公式で円周率πを計算する方法

を利用してeの値を求める方法(実は2.71までしか求められない)

を利用してeの値を求める方法(10項の和で小数第6位までピッタリ!)

の計算に挑戦

と盛りだくさん。なおこの内容は3月6日に名古屋の西三サークルの学習会で発表とのことです。

【数学大好き通信No.14〜No.22

No.14 「わかる数学楽しい授業の創造」(AMI東北大会)に三高生12名参加

No.15 「若い力科学で世界へ」

     (コンピュータのグリッド技術でコラッツ予想に挑戦している高校生神林君)

No.16 「大相撲の巴戦の話」

No.17 「あつく君が正解」(アンサンブルUの表紙に載った懸賞問題)

No.18 「メビウスの帯の英文に挑戦」

No.19 「2−4五日市さん、2−3佐々木さんのテストノート紹介」

No.20 「数学ハイレベル添削をスタートします」

No.21 「夢の新素材開発」〜フラクタル数学の勝利〜(フォトニックフラクタル)

No.22 「懸賞問題」(CHALLENGE RANKKING

 いやー、下町さんの幅広い実践には感心しぱなしですね。

 

●空間のメネラウスの定理ほか                宮本次郎(花巻北高校)

 平面のメネラウスの定理は、「一直線が三角形ABCの3辺BC、CA、ABまたはその延長と交わる点をそれぞれP、Q、Rとすると、

である。また、この式が成り立つと、この3点は同一直線上にある。

 このメネラウスの定理は次のように空間に拡張できる。

【空間のメネラウスの定理】

一つの平面が四面体ABCDの4つの辺AB,BC,CD,DAにおいて交わっているとき、

………@

が成り立つ。また、この式が成り立つと、この4点は同一平面上にある。

 なぜかというと右図のように、平面ABDにおいてメネラウスの定理より

………A

また、平面BCDにおいてメネラウスの定理より

………B

A÷Bより@が直ちに導ける。

【私の修士論文の視点】

 岩手大学大学院教育学研究科で派遣研修2年目の宮本先生はこのたび修士論文を提出しました。どのような研究をしたのか簡単な報告がありました。

 研究の目的は、作図ソフトGeometric Constructorを使った平面幾何の学習において「エスノグラフィー法」の数学教育研究における有効性を検証することらしい。ところで、エスのグラフィーとは、「他者の生活世界・意味世界をその人の生きている文脈ごとに抽出しようとする試みること」らしい。つまり、生徒達の学習活動にある特徴的なパターンの発見、生じる変化の発見を、予断を含まないで観察しながら仮説を修正していくことらしい。

 興味ある人は是非彼の百数十ページの論文にあたってみることをお勧めします。

 

●2次曲線の極・極線・接線                     金濱千明(盛岡第一高校)

 1点から円に引いた接線の2接点を通る直線の方程式は

となる。この点を極、そしてこの直線を極線と呼ぶ。この点Qが円外にあるときには極線は円の割線になるので内線とも呼ばれ、点Qが円内にあるときには極線は円と出会わない直線になるので外線とも呼ばれる。また、この点Qが円周上にあるときには極線は接線になる。

 同様のことが2次曲線についてもいえて、例えば1点から楕円に引いた接線の2接点を通る直線の方程式は

となる。

 円の方程式を2次形式で表示すると、

ここで、とすると、極線の方程式は次のようになる。

一般に2次曲線の方程式を2次形式で表示すると、

この極線の方程式は次のようになる。

実際に展開して整理すると、曲線から極線への書き換えの法則

が得られる。

 

●倍増期とMagic Number                        伊藤潤一(平舘高校)

 倍増期・半減期を簡単に求める方法として昔からいろいろな方法が考えられてきた。その中に「マジック・ナンバー70」という方法がある。例えば、年に増加率2%で倍々変化する現象の倍増期は

70÷2=35(年)

 この方法は極めて単純で優れていて増加率が比較的小さいときは誤差は目立たない。しかし、増加率が10%を超えるあたりから誤差が気になってくる。

 このマジック・ナンバーの精度をあげる工夫をしたのが、秋田の和田年夫さんである。そのため、まず、増加率と倍増期をかけた量xpを解析すると、なんと、階差はほぼ一定である。そこで階差を、増加率2%の倍増期を70とすると

………@

例えば、x=8(%)のときは、マジック・ナンバーは、よって倍増期は、

と求められる。このように、増加率が50%になっても相対誤差は1%を超えない。和田さんのマジック・ナンバーは極めて精度の高いことがわかる。

 さて、マジック・ナンバーの種明かしをしよう。それはMをx=0で高次の項までテーラー展開するとよくわかる。

この1次近似式をとると

x=2のときは、M=70.0079であるのでM≒700.3466とみなすと和田さんのマジック・ナンバーを得る。

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