’04杜陵サークル5月例会の案内

 大型連休(GW)もあれーという間に過ぎてしまいましたが、ふと見渡せば木々の若芽が目にしみる季節になっているではありませんか。サークル会員の皆様お元気でお過ごしでしょうか。きっと新年度の授業も軌道に乗りはじめたころでしょう。さて、杜陵サークルの5月例会を次の日程でもちます。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“風薫る五月を愛でる会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

 

 

1 日      時 5月15日(土)pm4:00〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

         教具作り

         数学雑談

 

インフォメーション

4月24日(土)「盛岡数学クラブ」の発足が岩手大学教育学部403号室でなされました。参加者は、沼田先生、小宮山先生、伊藤先生、金濱先生の4人でしたが、肝心の中・高生は現れませんでした。地区予選が近かったことも原因かも知れません。でもめげずに6月にもやろうということになりました。今回沼田先生や小宮山先生が用意した内容は、鉱物の結晶の数理に関わることや、多面体の作成など“ピュア数学”というより“コンクリート数学”という感じで、中・高生にも十分にわかって楽しいものでした。次回は、ぜひ生徒も参加したクラブになるようにしたいものですね。

4月29日(木)に岩手数教協の事務局会議がもたれました。議題は2006年度の全国大会についてでした。確認されたことは8月2日から6日の間の3日間、花巻温泉で大会をもつこと、実行委員長は、小宮山先生にお願いすることです。また、雑誌「数学教室」10月号の研究授業については、北上の和賀東中の鈴木健宏先生と和賀サークルに引き受けてもらうことになりました。多分、6月中には授業が実施されるとおもいます。また、いろいろ協力をお願いします。

数学セミナーの5月号の特集「数学は語る」を見たでしょうか?その中に『数学は跳ねる』高倉樹(中央大学)が、「サイコロの目からの類推」ということで「サイコロを3回投げるとき、出る目の数の和が10になる確率」を取り扱っています。その取り扱いはなんと、下町先生得意の母関数を使っているではないですか。展開もほとんどおなじです。シモマッチ先生、またやられ(パクられ?)ましたね!

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

 

 

4月例会の様子

 4月3日(土)の杜陵サークル4月例会の様子をお知らせします。

●三辺が整数比の直角三角形                 下河原 英(軽米高校)

  3月のAMI高校集会で右左見直英先生が発表したネタを材料にした展開です。下河原先生は解析幾何的証明を考えて発表しました。

 (1)3:4:5の三角形

 折り方は図のようにまずOCOBを折り、BAOCに垂直になるようにBAを折り、最後に三角形を形作るために余計な部分を折りたたむ。これで3:4:5の直角三角形ができる。

 このことを確かめよう。OAの方程式は

また、ABの方程式は、

(α)(β)を連立させて解くと

これより、

と計算できて、ABOBOA=3:4:5が確かめられる。

 また、図のような平行線を引けば直感的に理解できる。

(2)ピタゴラスの三角形

 より一般的には、次のように折ればピタゴラスの三角形が折れる。(OPOR=n、PCRB=kとする)こうすると、上と同様にして

が確かめられる。

 例えば、n=3,k=2とすると12:5:13の直角三角形が得られる。

 

●射影してみると…                    金濱千明(盛岡第一高校)

 下の図のように、目の高さをaに合わせて立って直線の目盛りがどう見えるかを考える。y軸はx軸直線に対するカンバスと考え、

と対応するようにできる。

 すると、x軸上の点の座標がy軸上でどんな座標に対応するかというと、

がいえる。また、この逆の対応は、

となる。

 今度はxy平面に立って足下の平面を水平線まで眺めた様子を考える。

 xy平面上の座標をカンバス上のXY座標に変換する。x座標については比例関係、y座標については1次元の内容がそのまま使って求めることができる。さらに、b=0,c=1とおくと

 という対応が得られる。また逆変換は、

………@

 となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 xy平面上の図に上の変換をほどこすとどうなるか?例えば放物線 はカンバス上ではどうなるだろうか?@を代入して整理すると

という2次曲線になる。高いところから見るとこれは楕円になる。「放物線は無限遠直線に接する楕円である」ということが実感できる結果である。

 

●複比                           宮本次郎(釜石南高校)

 最近の杜陵サークルは「複比ブーム」である。金濱先生に触発されて、宮本先生が初等幾何における複比についてのレポートをまとめてきた。

(1)直線上の4点についてのオイラーの定理

 直線上の任意の4点をA,B,C,Dとすれば

 である。(円に関するトレミーの定理を直線につぶしたもの)この定理は、ABを有向線分と考えることによって成立する。この定理からも初等幾何で有向線分を考える意義がよくわかる。

(2)内分点・外分点・無限遠点

内分点の比の値は、非負の全ての実数を取りうるが、外分点の比の値は−1以外の負の実数を表す。

なので、この比の値が−1になる点を仮想して、それを無限遠点とする。すなわち、

(3)調和点列

 直線上の4点A,B,P,Q

という関係にあるとき、すなわち点P、Qが同じ比に内分と外分する点であるとき「点A,B;P,Qは調和点列である」という。調和点列になるポピュラーな命題は次の2つである。

 命題:内角と外角の2等分線で作られる点列B,A,P,Q

 命題:極点と極を通る直線と円と極線の交点で作られる点列Q,P,A,B

(4)複比

 直線上の4点A,B,C,Dについて、次の有向線分の比をこの4点の複比と呼び [AB,CD]と表す。

 複比については次の重要な定理が成り立つ。

 定理 点Oで交わる4直線a,b,c,dに対して、Oを通らない直線gg’に対しての交点をA,B,C,Dと    

    A’,B’,C’,D’とすれば、次の関係が成り立つ。

[AB,CD] [A’B’,C’D’]

 証明の眼目は、図の

を示すことにある。点Aを無限遠点に「ぶっ飛ばす」ことによって単純な比に置き換えようという作戦である。

 この定理によって、4本の線束a,b,c,dがつくる複比は一定であることがわかり、4直線の線束の複比が定義でき、華麗な射影幾何の世界が展開される。

 

●私立文系コース選択数学の授業               宮本次郎(釜石南高校)

 今年の私立文系コースの選択数学で取り上げた話題は次の通りである。

(1)哲学の祖ターレスをめぐって…カクシリ器で測量しよう

(2)地球の大きさを測った人…エラトステネス

(3)バビロニアの粘土板…正方形の対角線の長さを60進法で計算しよう

(4)定理を見つけよう…Roll overユークリッド Geometric Constructorを使って

(5)ルーローの四面体の制作…ルーローの三角形を立体に拡張しよう!

(6)自由課題…文化祭に向けて自由研究

 授業の最後に小学校からの算数・数学を振り返っての感想を書いてもらった。

めい「一番記憶に残っているのは、花見をしながら、建物などの高さを測定したことです。花見もできて楽しかった、という理由もありますが、あのときに一番数学は身近なものだと知ったからです。(中略)この授業で、数学は紙の上でのものではないと認識することができました。もし、この授業を受けていなかったら、ずっと、そう認識することもなかったと思います。」

さつき「今まで私は、どんなことにおいても、できあがった答えや完成品しか見ておらず、そこに至るまでのプロセスを完全に無視していました。でも、この選択数学は、そういったプロセスを重視する授業だったので、私は自分の力で答えにたどり着くことの大変さを知り、そして自分もできるんだという自信がもてるようになりました。私は、この選択数学の授業を、もっと早くに、できれば高1くらいの生徒に行えば、数学離れは止まると思うし、数学の楽しさを知ることができ、やる気もあがるので、成績も上がると思います。」

とも「何より魅力的だったのは、正解へのアプローチは幾通りもあるのに答えは限定されているという考えでした。だから私は特にもベクトルが好きでした。何事においてもさまざまな手段でそれに挑むことが許され、またたとえ間違えたとしても、どこで自分が誤ったのかを冷静に検討することができる。これは数学にとどまらず、人生においても大切なことだと思いました。もしかしたら、こういった考え方を刷り込むために、私たちは幼少のみぎりから、数学教育を受けているのでしょうか。」

この後にゆうこ、ゆうな、なつみと続くのです。

 

●数学通信『最後の懸賞問題』他               下町壽男(花巻北高校)

 ご存じシモマック先生の「数学大好き」通信の続報です。

No.32  最後の懸賞問題

 問題 各桁の数字が1〜9までの整数で、すべて異なるような9桁の整数を考える。このとき、上からk桁とった数がかならずkの倍数になるような9桁の整数を求めよ。

 正解者には、東急ハンズで手に入れた不思議なめがね(1個)をさしあげます。できた人は申し出てください。では皆さんさようなら。

 なんと、その日のうちに正解者が現れたそうです。その解は「381654729」なのだそうです。

 そして、通信の締め括りは「数学ビギナーズマニュアル」(日本評論社)の一文の引用です。「数学を理解するためにまず必要なものは、わかりたいという熱意です。私達が数学のある理論を学ぶとき、どれだけその理論を受け入れる気持になっているかが、大事だろうと思います」というくだりはしびれますね。

 そして、たくさんの生徒のお別れの手紙です。一人だけ紹介しましょう。

「先生こんにちは!!お手紙で感謝を述べることをお許しください。直接話すと泣きそうなので…。…(中略)…先生の授業はとっても分かりやすくかつ私達に数学の楽しさを知ってもらおうと、多くの数学秘密道具で応援してくださったのが印象的です。私は先生のそんな教え方がとても好きでした。数学の授業でこんなに笑っていたのは、かってないのではないかと思います!!私が質問にいったときもせ先生はニコニコと私にわかりやすく教えてくださいました。わたしがとんちんかんだったので、先生を困らせてしまってごめんなさい。先生が優しく教えてくださったので、うちは質問に行くのが好きでした。…花北にいっても、先生のhighセンスで生徒を数学の世界に引き込んでくださいね!!ps「みうら折り」ありがとうございました“一生の宝物”にします。」

 この「数学秘密道具」というのが気になりますね。

 

 

 

 

●初等幾何の調理法                     伊藤潤一(盛岡北高校)

 3月のAMI高校集会で発表したレポートの紹介。

1.              ウサギでもわかる2辺の和

 「三角形の2辺の和は他の1辺より長い」という誰でも(動物でも)わかる自明な定理から導かれることについて考えます。

(1)ウサギさん、水を飲み小屋に帰る。

(2)ウサギさん、足を洗い、水を飲み小屋に帰る。

(3)ウサギさん、蝋燭を2枚の鏡に映す。

これを発表したら、群馬大の瀬山先生から

『三角形の三辺を巡って最短距離を歩くルートの問題』

も取り入れたらというアドバイスをもらいました。

 サークルで検討したらこれはケッコウおもしろいことがわかりました。

 また、大妻女子大の野崎先生からは人名「ターレス」は、よく使われているが本当は

「タレース」または「タレス」

とすべきだという指摘もありました。

 いろいろ勉強になりました…。

 

 

 

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