’04杜陵サークル7月例会の案内

 東北地方も梅雨入りうっとうしい季節になりましたが、雲の間から時折もれる日差しは夏を思わせるものがあります。サークル会員の皆様お元気でお過ごしでしょうか。きっと1学期の締め括りのテスト問題など作成中でしょうか。さて、杜陵サークルの6月例会を次の日程でもちます。今回は、岩手高教組教研の推進委員会と合同で行うことになります。忙しい中でしょうが、なにとぞ都合をつけて参加くださるようお願いいたします。なお、同日午後2時からに岩手大学教育学部403号室で第2回盛岡数学クラブがもたれます。こちらにも参加して楽しんでみてはいかがでしょうか。

 なお、例会終了後にいつもの月見亭で“梅雨を楽しむ会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 7月24日(土)pm4:00から7:30まで

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討

         教具作り

         数学雑談

 

インフォメーション

6月26日(土)午後2時から4時半の予定で「第2回盛岡数学クラブ」が岩手大学教育学部403号室でもたれました。今回は花北・市立・盛北の3校の高校生も参加し、懸賞問題の検討を中心にしたなごやかな学習会になりました。次回のクラブは9月になるようです。

6月19日(土)〜20日(日)AMI東北地区協合宿研究会が仙台市の茂庭荘でもたれました。サークルからは小宮山先生・伊藤先生・下河原先生が参加しました。研究会では『道数協の歩みと最近の動き』と題しての堀岡武先生(AMI北海道前事務局長)の示唆的な講演がありました。また、実践面では青森の岡崎弘志先生の「正負の数のちょっとした話題」や秋田の和田年夫先生の「小数のかけ算」、宮城の林和人先生の「どっさりあまる」などのレポートが注目されました。特に、岡崎先生の正負の数の「タイル再考」(タイルに変位のイメージを転写!)、「乗法は難しい」(乗法は東西の動きではなく上下の動きで)はとても面白かったです。

6月24日(木)和賀東中学校で国土社の雑誌「数学教室」の授業研究が行われました。授業者は鈴木健宏先生でテーマは『連立方程式』、和賀サークルを中心に、青森の岡崎先生、宮城の岩澤先生そして小宮山先生にも参加していただいき無事に終了したようです。この授業の様子と座談会は10月号に掲載される予定です。お楽しみに!

8月3日(火)〜5日(木)AMIの全国大会が高山でもたれます。大会へはサークルから5名参加するよていです。(何でも前日に日本海回り黒部経由で高山に入るルートで検討がなされているようです)また、この大会に向けて、サークルの出版活動をしようと、急きょ「杜陵サークルレポート集」と「杜陵サークル案内集」を発刊することにしました。掲載したいレポートのある方は大至急、伊藤先生まで送ってください。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

6月例会の様子

 6月26日(土)の杜陵サークル6月例会の様子をお知らせします。

●極値と重心の関係                   井上 具規(花巻北高校)

 3次関数は、で極値をもつが、もう1つの極値はどこで持つのだろうか?微分して整理すると、となるので、となるのは

これより、もう1つの極値は線分を1:2に内分した点であることがわかる。このことから、一般に3次関数が極値を持つとき、図のような5点を通ることがわかる。

 これを拡張すると次の定理が成り立つ。

定理(Tomoki Inoue

 関数の極値のうち1つは、線分に分けた点になる。

(証明)

であるので、となる。また、

のとき、であるので、このときに極値をとる。

 このことから、4次関数は線分を1:1に内分(中点)で極値をとり、は、線分を1:3に内分した点で極値をとることなどがわかる。また、この定理はが負の数でも成り立ち、このとき極値をとる点は外分点になる。

 このことから派生して、

*を通り傾き2の直線

を通り傾き3の直線

の和で作られる関数は、線分を3:2に内分した点を通ることがわかる。よって一般に、次のことがいえる。

 *を通り傾きの直線から作られる和の関数

を通ることがわかる。この点は重さを座標に掛けたと考えた重心となる。

 

●パスカルの三角形の拡張                井上 具規(花巻北高校)

 を展開するときには、パスカルの三角形は大変便利なものである。また、を展開するときは、図のような3項係数を各格子点にもつ三角錐をシェーマにするよい。では、を展開するときのシェーマは、どのようなものになるだろうか?

 ちょっと考えると、それは三角錐の次元をあげた四次元の6胞体になるはずなので、視覚化するのは不可能なような気がする。しかし、井上先生は、各頂点方向に拡大(成長?)する図のような四面体をシェーマにすれば可能であることを示した。

 同様にして、の展開は、四面体の頂点の4方向の他に5番目の超越的方向を考えてみごとに視覚化しています。でもこの辺になると、多項定理を使って係数を次々と決めていった方が効率的かもしれません。それにしてもこの研究は、多項展開に新たな境地をひらいたものだと感じました。詳しくは数研通信49号をみてください。

 

 

 

 

 

 

 

●前々回までの内容                   金濱千明(盛岡第一高校)

 下の図のように、目の高さをに合わせて立って地面にあたる直線の目盛りがどう見えるかを考える(図)。y軸はx軸直線に対するカンバスと考え、 と対応するようにできる。すると、x軸上の点の座標がy軸上でどんな座標に対応するかというと、次のことがいえる。

 今度はxy平面に立って足下の平面を水平線まで眺めた様子を考える。xy平面上の座標をカンバス上のXY座標に変換し、とおくと

となる、また逆対応はとなる。

また、目の高さを0に、地面に当たる直線をに平行移動して考えると、上の変換は

、逆対応はといくらか簡単な式になる。

 xy平面上の図に上の変換をほどこすとどうなるか?例えば放物線 はカンバス上ではどうなるだろうか?として変換すると、 

という水平線(無限遠線)上で閉じるている楕円になる。「放物線は無限遠線に接する楕円である」という代数幾何の定理が実感できる結果になっている。

 

3次方程式の解の判別式                   下河原英(軽米高校)

 3次方程式の解を判別する方法を考えてみよう。3次方程式

の3つの解をとして、解の差積の平方式

・・・・@

を考える。

として、細々とした計算を延々とすると

となる。ここで3次方程式の解と係数の関係

を代入し、この式にをかけたものを改めてとすると、

となる。(あまり綺麗になりませんでした)

 実数係数の3次方程式の解は次の4通りある。

 (1)実数解、虚数解のときは、

 (2)異なる3つの実数解のときは、

 (3)2重解、実数解のときは、

 (4)3重解のときは、

これでは、2重解と3重解の判別ができない。そこで、サブ判別式なるものを考えた。

これを変形して

これを利用すると

(3)の場合は、 (4)の場合は、

とうまく判別できる。

 ところで、は、実は3次関数のグラフが極値をもつ条件と一致する。だからグラフがx軸と接して極値をもつ条件はは、方程式が2重解と他の実数解をもつことと同値なのである。

 

 

●第1回花北数学研究会での話題から             下町壽男(花巻北高校)

 今年度から花巻北高校の数学科教員での研究会が始まったとのこと。その研究会での話題の紹介です。まず、『うちわ型分割の効用』と題して、定積分の入試問題(慶応大)の研究です。

 問題 底面の半径がで高さがの直円柱Aを考える。この直円柱Aを座標空間内の2つの平面との間に、その中心軸がz軸と重なるようにおく。また、x軸と点を含む平面をPとする。平面Pでこの直円柱Aを切ってできる2つの立体のうちで、点を含む方の立体をBとする。この立体Bの体積Vを求めよ。(改題)

 いろいろな方法で立体を分割して考えてみよう。比較すると、放射状分割(うちわ型分割)が以外と簡単であることがわかる。なお、このいろいろな分割を素晴らしいペーパークラフトで作ってきたモノを紹介されました。これはわかりやすい。(作者は井上先生とのこと)

 

 

 次に『これでホントに10点減?』と題して、数列の極限の入試問題(東北大前期)です。

 問題 nを自然数とする。n+1個の等差数列と等比数列

を満たすとし、を次で定める。

このとき極限値 をそれぞれ求めよ。

この答案の中で 『ゆえに』とすると5点減点、また、『ゆえに』とするとさらに5点減点で計10点減にするという。

 減点されないためには、

は連続だから、』と書くか、『この式logの導関数である指数関数に代入し、指数関数の連続性を使うと』という風に書いて欲しいそうです。ムム!高校生にここまで望むとは…。超ハイペース終わってしまう数学Vですが、“連続性”、“微分可能性”の基本的なことをキチンと教えなければならないようです。

 最後に『力学系の問題は最近流行?』と題して、1次関数の合成とm周期点の入試問題(慶応大)です。下町先生の十八番のカオスにつながるとても幽玄な数学の話がとめどなく続きました。

 

 

 

 

●平方根とルートと絶対値と・・・               宮本次郎(釜石南高校)

 宮本先生の新任地釜石南高校での授業のひとこま。
みやじ「がどうなるか考えてみましょう。」

生徒A「それAでしょ。」

みやじ「定義を確認していきましょうか。って一体何なんでしょう?」

生徒A「A!」

みやじ「そうじゃなくって・・・・、の定義を聞いているんだよ。」

生徒C「平方根!」

みやじ「“Xの平方根”と“”はおなじもの?」

生徒B「ああ!だ。」

みやじ「何がなんだよ?」

生徒B「

みやじ「だめだな・・・こりゃぁ・・・“Xの平方根”とは“2乗するとXになる数”のことです。これが

    中学校で勉強してきた“定義”です。」

生徒A「うんうん」

みやじ「じゃ、4の平方根っていうのは何なの?」

生徒C「あ!2だ2。」

みやじ「他にない?」

生徒B「−2」

みやじ「うん。2と−2どちらも2乗すると4になるね。他に無い?」

生徒B「ない!」

みやじ「“ない”かあ・・・どうして?」

・・・・・・・・・・・

みやじ「というわけで、二つある“2乗するとXになる数”のうち、正の数を“”と書くことに

    したのでした。つまり、とは“2乗するとXになる正の数”のことです。」

生徒一同うなずく

みやじ「じゃあ、いよいよ本番!“”はどうなるでしょう?」

生徒C「A!」

みやじ「あのなあ・・・今何を説明されて何がわかったんだよ・・・おじさんは悲しいよ・・・」

・・・・・・・・・・・

とまあこんな調子で、を生徒に説明したというレポートでした。宮本さん、楽しんでやっていますね。

 

●量の理論・・・70年代・・・その2               宮本次郎(釜石南高校)

 田村二郎氏は、彼の“量と数の理論”を1978年3月から6月にかけて「数学セミナー」に連載した。それを基礎にして「量と数の理論」の本ができあがった。

 この本は“ユークリッド幾何”と“古典物理学”を念頭におき、量の数学的理論を展開する。

量の公理として、次の5つをあげている。

(1)量の「大小」に関する公理1

(2)量の「加法」に関する公理2

(3)量の「等分」に関する公理3

(4)アルキメデスの原理(公理4)

(5)量の連続性に関する公理5

注目すべきは、“倍変換”の取り扱いである。

定義1(量の自然数倍)任意の自然数nに対して「量Aのn倍」を次のように定義する;すなわち、Aのn個の和

を「量Aのn倍」として、 またはで表す。

定義2(自然数による倍変換)自然数nに対して

という変換を考えることができる。この変換を「自然数nによる倍変換」あるいは「n倍変換」という。

 倍変換の全体を考えると、2つの変換の間に、次のように自然に和と積が定義される。

これによって、量の倍変換と自然数が自然に結びつく。

 こうして、“長さ”のような量が自然数と結びつくことが可能になる。つまり“自然数”という「数」を長さのような量空間の倍変換としてとらえようという発想である。そして、数概念の拡張は量の倍変換の拡張に他ならないという立場で展開していくのがこの本のあらすじである。

 

 

●ネコ仙人と遊ぼう〜ネコでもわかる数学演習その5〜     伊藤潤一(盛岡北高校)

 授業で使う演習用のプリントに一味付け加えようということで、プリントの名前を「ネコ仙人と遊ぼう」にして「ワンポイントでオリジナルキャラクター」を入れることにしたら、結構生徒がノッテきたという話。

 「その5」のプリントは、1次不等式の文章題について。問題文を読んで、不等式を立式するのはいまの高校生は極めて不得意。まず、立式自体が等式の場合よりかなり難しいし、量の算法(三用法)も全くできない。一方、教科書にはかなりの難問が入っている。このような状況の中で生徒は「いやだなー」という印象しかもてない。そこで、基本的な量「濃度」「速度」「単価」「四捨五入」などに絞って、その算法を考えながら解こうというプリントです。

 問題 次の問に答えよ。

(0)「速さ」「時間」「距離」の3つの量を結びつける関係式は?

 @「距離」÷「時間」=「速さ」A「速さ」×「時間」=「距離」B「距離」÷「速さ」=「時間」

(1)600mの距離を、分速50mで歩いたら何分かかるか?

(分)

(2)学校から駅までの道のりは2000mである。学校から駅に行くのに初めは分速60mで歩き、途中から分速120mで走ることにする。学校を出発してから30分以内に駅に着くためには歩く道のりを何m以内にしなければならないか。

 歩く道のりをxmとすると、

 これを解いて

 よって、歩く道のりは1600m以下にしなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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