’04杜陵サークル9月例会の案内

 

朝夕の涼しさはあの猛暑の夏が懐かしく思えるほどです。すでに山の上では紅葉が始まっています。サークル会員の皆様この初秋をいかがおすごしでしょうか。さて、杜陵サークルの9月例会を次の日程でもちます。9月23日(木)の岩手大学の数学公開講座の直後で、ちょっと苦しいでしょうがよろしくお願いします。なお、例会終了後にいつもの月見亭で“初秋を愛でる会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

1 日      時 9月25日(金)pm4:00から7:30まで

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討、教具作り& 数学雑談

 

インフォメーション

 

9月11日(土)〜12日(日)仙台市で宮城県AMIの研究会がもたれます。北海道大学の須田先生の講演をメインに小・中・高の授業講座もたれ、下町先生が講師として参加しました。しかし肝心の宮城県内の高校の出席者が少なく“がっかり!”だったようです。サークルで顛末が聞けるかも?

9月16日(木)〜17日(金)釜石のホテルシーガリアマリンで県高教研数学部会の研究大会もたれました。サークルから金濱先生が「射影の数学」の発表、宮本先生が事務局で裏方の仕事をしました。多分今回のサークルその様子が聞けると思います。

9月23日(木)13:00〜16:30岩手大学人文社会学部1号館第1会議室で岩手大学公開講座「数学の美しさを体験しよう」があります。内容は、「数学を学ぶのはなぜか」(人社 大西先生)、論理パズル入門(教育 押切先生)の興味ある講演です。当日参加歓迎のようですので、生徒を誘って参加してみませんか。

9月から10月は高教組の支部教研の“季節”です。各支部での数学分科会を積極的に盛り上げて11月13日(土)〜14日(日)の教科別県教研につなげていきたいものです。

2006年のAMI全国大会実行委員会の通信「ネコ仙人のつぶやき」が創刊されました。皆さんご協力で是非この通信を育てようではありませんか。合わせて“実行委員会へのお誘い”を近々送るつもりです。

待望の盛岡地域の中学校サークル「すうたく」(数学開拓という意味なのだそうです)が旗揚げしました。第一回は8月27日(金)滝沢村東部体育館会議室でもたれました。事務局は、姥屋敷中の中川直之先生です。これからの活躍を期待します。

皆様のご協力で、杜陵サークルレポート集2004が7月末に刊行できました。職場や知人に勧めてもらえればと思います。サークル通信2003〜2004と合わせて1000円というお手頃の価格です。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

8月例会の様子

 8月20日(金)の杜陵サークル8月例会の様子をお知らせします。

What Is This Thing Called Cells Operation                下町 壽男(花巻北高校)

 ここで述べる話題は、「BASIC数学」(1992年5月号)の「what To Solve (J・コフマン)を読んでのものです。

 隣接するセルの約束された計算で、次の状態が決まっていくような系を「オートマトン」といいます。オートマトンは高校生にとっても数学の面白さを知るとてもよい話題になります。例えば高校生向けとして次のような問題はどうでしょうか?

この問題は虚数単位の計算という他愛のないものですが、結果の美しさと不思議さが興味をそそります。何度かこのような計算を行った後、興味を持った生徒には次のような問題をだしてもよいでしょう。

『上の例において、どんな配置に対しても必ず全部の要素が1になることを証明せよ。』

 次に発展です。上の例からわかることは1の4乗根で表された数が4ステップで{−1、1}つまり1の2乗根の世界に変化するということです、このことから、

『1の原始16乗根をξとして各セルの要素をξp(p=0,1,2,3,,15)とするとき何回で定常状態(全部のセルが1)になるか?』

 実際の計算をする場合は、かけ算で考えるのでなく指数に注目し、たし算で考えればよい。

 3×3のセルで、左上の隅が1で残りが0として、

0+0=0,1+0=1,0+1=1,1+1=0

の演算でのオートマトンを考えてみよう。

1994年の数列の漸化式の授業では、1をオオカミ国、0をヒツジ国として生徒に考えさせた。

 図のように3×3のセルでは、収束し全てのセルが0になるが、4×4、5×5などはサイクリックになる。ではどんなときに収束するだろうが?

『一般にのときにn×nのセルは、全て0に収束する』

証明は高校生には無理かもしれない。

 サークルの検討では、正方形状のセルを拡張して「立方体状のセルで考えたらどうなるだろうか?」とか、「図のような一般のグラフで考えたらどうだろうか?」など例によって無責任?な提案が飛び交った。誰かかんがえたら?

This Is I Think About Cells Operation                     下町 壽男(花巻北高校)

 2月に広島市でもたれる全国研究集会の発表をにらんだレポートでした。下町先生が15年前に県北のO高校(かなりの低学力の生徒が多い)での高校数学の入門の実践を下敷きにしたものです。

 §1 長方形の面積    §2 リーグ戦の話   §3 乗積表  

 §4 展開        §5 因数分解     §6 除法

いずれも、べきタイルと乗積表(田んぼ算)を使ってとてもわかりやすく授業したもののレポートです。詳しくは、数学教室2月号を見てください。今回はその中の応用編のいくつか紹介します。

 応用1 2重根号をはずす

 をはずすには、となるようにを変形すればよい。そこで、図のような表を作成する。

 

 

 応用2 いろいろな因数分解

 文字複数同次形の式の因数分解について、

 応用4 微分係数

 において、のときの変化率(微分係数)を以下のように説明した。まず、(実際はaは具体的な数で与える)からほんの少し(h)だけ増えたとき、がどうなるかを電卓を使って計算します。次に下図のような面積図での様子を説明します。

この面積図によってhの2次の項を無視するという考えが納得できる。

そこで、

において、直接図よりを求めることができる。

 

 

 

 

応用3のべき展開、応用5のベン図は紙面の関係で省略します。

 

It Don’t Mean A Thing It Ain’t Got That Swing          下町 壽男(花巻北高校)

 ある日の授業で『3個のさいころを同時に投げたとき、目の和が10になる場合は何通りあるか』という問題を出した。これを『さいころ母関数』を使って解くことにする。すなわち、

の係数を調べるのである。係数分離法でやると。

まず、

これより

   

よって、目の和が10なるのは、の係数を見ればよいので、27通りでることがわかる。

 

●内接円と三角形の面積                  下河原 英(軽米高校)

 △ABCの内心をIとする。内心IからBC,CA,ABに下ろした垂線の足をそれぞれD,E,Fとする。直角三角形AFIについて、

同様にして

ABCの面積をSとすると

となる。では、内接円を持つ四角形ABCD(円に外接する四角形ABCD)の面積Sはどうなるだろうか?三角形と同様の考察をして、

これをn角形に拡張するのは容易である。

 

●四面体の重心                      井上 具規(花巻北高)

 四面体A-BCDの重心Gは、頂点Aと三角形BCDの重心Fとを結ぶ線分AF3:1に内分することを証明しよう。

 重心Gと各頂点を結ぶと4つの四面体G-ABC,G-ACD,G-ADB,G-BCDができる。これらの四面体をGと底面の三角形の中線で決まる平面で切ると6つのブロックに分かれる。つまり、四面体は4×6=24ブロックに分けられる。ところで、この24のブロックは容易に体積が同じであることがわかる。

 さて、線分AFを含む、4面体A-FCMの中には4つのブロックが含まれ、

(四面体A-FCM):(四面体G-FCM)=4:1

となるので、

AGGF=3:1

がいえる。

 

 

 

 

 

 

 

●折り紙の織り紙                     井上 具規(花巻北高)

 図のような籐の織物をよく見かける。この模様を1枚の紙でおるだけで作ってみよう。展開図は次の通りである。実線は山折り、点線は谷折りにして折るとできあがる。(しかし、かなりの時間が必要)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期待値の授業                      宮本次郎(釜石南高校)

 今回は「期待値」の授業の様子をお知らせします。

みやじ「今日は『期待値』というところです。期待値とは何なのか、わくわくと期待で胸が膨らみますね・・・。

生徒「・・・(無反応)・・・」

みやじ「ま、教科書見てみますか・・・。」

     【教科書】赤球10個、白球30個、黒球60個入っている袋から1球を取り出す。赤球、

      白球、黒球を取り出すとき、それぞれ700円、300円、100円の賞金が与えられ

      るものとする。

みやじ「いきなり現実場面から遊離した、数学らしい設定ですね。いったい何をこれから勉強しようとしているんでしょうね。

生徒「・・・(無反応)・・・」

中略

みやじ「さて教科書の次の部分を見てみると・・・」

     【教科書】賞金とその各値をとる確率は、次のようになる。

         賞金  700円  300円  100円  計

         確率              

      この試行を1回行ったときに与えられる賞金の平均は、賞金の総額を球の総数で割った 

      ものであるから、

   ・・・・@

      となる。これは、

   ・・・・A

      とも考えることができる。

みやじ「確率がこの表のようになっているというのはいいよね。」

生徒「(うなずく)」

みやじ「じゃあ、次に続く部分はどういう意味だろうね?わかるかい?」

生徒E「平均?」

みやじ「平均かあ?何の?」

生徒E「賞金全部の!」

みやじ「賞金全部の平均ってことは・・・この100個の球の全部の平均ってこと?」

生徒E「うん」

中略

みやじ「さて、教科書の文書だと、これが『この試行を1回行ったときに与えられる賞金の平均』だっていうんだけど、これはどう思う?」

生徒「・・・(無言)・・・」

みやじ「『この試行を1回行ったときに与えられる賞金の平均』っていうことは、100個の球の入った袋から1個取り出して、球の色によって賞金が100円だったり300円だったり700円だったりするわけだけども、こういう試行を何回も行ったときの平均っていう意味なんだろうか?

生徒A「そりゃあそうでしょう・・・。他にどういう解釈があるの?」

中略

みやじ「みんなちょっと考えているようだね。もう少し考える材料を追加しましょう。もうひとつ、教科書で平均を求めている計算があるけれど、これは、一つの袋の100個についての賞金の平均だよね。」

生徒「(うなずく)」

みやじ「そこで、ちょっと考えてほしいのだけど『この袋を100セット用意して、各セットから1つずつ取って賞金をもらうと考えた賞金の平均』と『一つの袋の100個ついての賞金の平均』とは同じ概念ですか?」

生徒「・・・(無言)・・・」

みやじ「じゃあ、ここで、みんなの意見を聞いてみましょうか・・・

     1.同じもの 2.違うもの 3.どうでもよい

さあ、どうでしょう?」

(1.           同じものに手を上げた生徒は5人で、それ以外はみんな2.の違うものに手をあげる)

みやじ「えーっと、同じものだと思った人、違うものだと思った人に対して「何考えてんだ!同じだろ!」って感じで反論して!

生徒F「・・・」

みやじ「じゃあ、反対に違うものと思った人、同じだっていう人に、反論して!」

生徒A「・・・」

みやじ「えー・・・。多数決で決めるとすれば、2つのことは違うということになる。けれども、教科書の記述は、この2つは同じものだと書いてあるね。教科書の記述にオブジェクション!ってことかな?」

生徒A「(困った顔をしながら)そうですね・・・。」

 

後略

 

 授業はこの後、@の式とAの式の性格の違い、すなわち@の式は『必然の値』でAの式は『偶然に左右される確率現象についての値』ということに進み、期待値の定義式を導くことで終わります。

 

タンジェントの数学                   伊藤潤一(盛岡北高校)

 §1 みよ大空に飛行機の高く飛べるを

 タンジェントらしい問題をいくつか作ってみた。石川啄木の詩の情景を彷彿させる問題である。

(1)高度10000mを水平飛行する旅客機がある。この旅客機が頭上を通ってから1分後の仰角を測ってみたら40°であった。この旅客機の速度を求めよ。

  左図において

よって、速度は

   11918 m/分 ≒ 715km/

(2)速度1200km/時で水平飛行する飛行機がある。この飛行機が頭上を通ってから1分後の仰角を測ったら35°であった。この飛行機の高度を求めよ。

(3)高度10000mを水平飛行する旅客機がある。この旅客機が頭上を通ってからしばらくして仰角を測ったら60°、1分後に測ったら30°であった。この旅客機の速度を求めよ。さらに、1分後のこの旅客機の仰角を求めよ。

§2 絵画の視角

 壁に長方形状の大きな絵が図のような位置に飾ってある。この絵の縦方向の視角が最大になる地点は壁から何mのところか?

 

 壁からの距離をχ、視角をθ、∠AOC=α、∠BOC=βとする。

(1)微分法(数学V)を使って解くと

・・・・@

より、 となるのは 

(2)相加平均、相乗平均の関係(数学U)を使って解くと

@ を変形すると

   相加平均、相乗平均の関係より分母は、

   等号成立の条件は  すなわち 

(3)方べきの定理(数学A)を使って解くと

    地点Oでの視角θを一定にするような点の位置は、△OABの外接円上にある。この外接円

   の半径が小さければ小さいほど視角θは大きくなるので、OCと接する円を考えればよい。

    方べきの定理より、

   すなわち、 よって 

§3 正接定理

 正弦定理、余弦定理はよく知られているが正接定理はあまり知られていないようだ。

    正接定理   

 とりあえず、証明はできたが今一ピントこない。また、正接定理はどんな場面で使うのだろうか?誰か教えてくれ!

 

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