’04杜陵サークル10月例会の案内

 

 秋まっただ中、スポーツの秋、芸術の秋、味覚の秋、いろいろの秋を楽しんでいると思います。でも杜陵サークルの会員の皆様にとってはなんといっても学問の秋・数学の秋を堪能しているのではないでしょうか。さて、杜陵サークルの10月例会を次の日程でもちます。なお、例会終了後にいつもの月見亭で“深秋を愛でる会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

 

 

1 日      時 10月30日(土)pm4:00から7:30まで

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討、教具作り& 数学雑談

 

インフォメーション

 

9月23日(木)13:00〜16:30岩手大学人文社会学部1号館第1会議室で岩手大学公開講座「数学の美しさを体験しよう」がありました。「数学を学ぶのはなぜか」(人社 大西先生)、論理パズル入門(教育 押切先生)の興味ある講演、そして講演と講演の間の約1時間は花巻北の生徒達のミニ研究発表を中心とした交流会と楽しみました。約40人余りの高校生と社会人・教師が参加で有意義な時間をつくることができました。

10月2日(土)14:00〜17:00岩手大学の小宮山研究室でAMI岩手の事務局会議がもたれました。協議題は、2006年のAMI全国大会の準備体制と来年1月一関での民教研をどうするか?の2点でした。話し合ったことについては近々「ネコ仙人のつぶやき」の第2号に掲載します。

9月から10月の高教組の支部教研を受けて10月19日(火)教研推進委員会がもたれ、県教研の発表レポートの検討をいたしました。近く発表者・討議者・係の依頼がいくと思いますが11月13日(土)〜14日(日)県教研の盛り上げをよろしくお願いします。

11月6日(土)14:00〜16:30岩手大学教育学部403号室で第3回盛岡数学クラブがもたれます。高校生を誘って参加してみませんか?なお、懸賞問題にも是非チャレンジしてみませんか。

11月27日(土)〜28日(日)にAMI東北の研究集会が山形県米沢市でもたれます。この研究会にサークルから宮本先生・井上先生が「ペーパークラフトのお店」(教具作りの講座)、下河原先生が「円と三角形の不思議」(レポート)を出す予定です。近く案内が届くと思います。皆で参加しませんか?

皆様のご協力で、杜陵サークルレポート集2004が7月末に刊行できました。職場や知人に勧めてもらえればと思います。サークル通信2003〜2004と合わせて1000円というお手頃の価格です。(在庫多数あり!)

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

 

9月例会の様子

 9月25日(金)の杜陵サークル9月例会の様子をお知らせします。

メルカトル図法について                           下町 壽男(花巻北高校)

 今年も花巻北高の文化祭“桜雲祭”で数学展示が行われました。今回の目玉は、2年生の和田君と岸根君の力作の地球儀です。地球儀にドリルで穴をあけ、内部に光源を置きます。円柱形に紙を巻きつけると平面地図が投影されます。このようにしてできたものは“円柱図法”といいます。さてこれはいわゆる“メルカトル図法”でしょうか?

 球面の図を平面に写す場合、例えば相似性を保存しようとすれば面積にしわ寄せがきますし、等積性を重視すれば相似性が崩れます。メルカトル図法は相似性を保存した地図といわれます。つまり地球上での方位角と平面上の方位角が等しい地図というわけです。(なので航海に使われる)

 そこで、相似性を調べてみます・・・・。

 球面上で、両極を通る2本の経線は円柱上では平行線になります。(図1)つまり、球面上に経線と緯線を引いて球面長方形に分割すると、平面の方もそれに対応して格子ができあがります。(図2)

相似性を調べるには、球面上の微小四角形とそれが写された平面上の長方形の対応する辺の比を考えればいいわけです。(図3)

球面上OAから中心角θ上がったところの点をPとして、この近傍の四角形を考えます。これが、球の中心の光源からの投影によって平面上の長方形に写っています。

 なので とします。

 ここで、PQの長さはどうなるのでしょう。図4を見てください。

 なので  です。

このことから、この投影法では球面上の横幅が倍されることがわかります。では、縦の方はどうでしょう。縦つまり高さ

 で与えられるので  つまり 

となり、縦の方は倍になっていることがわかります。よって、相似性が保たれていないことがわかります。

 したがって、円柱図法を相似性が保たれるように修正するには、縦方向をさらに倍しなければなりません。つまり、

 の微分方程式を解いて で経線の位置を決めなければなりません。

 このようにして作ったのはメルカトル図法です。

 

●2次曲面と幾何                      下河原 英(軽米高校)

 円錐の平面での切り口は、いわゆる円錐曲線である楕円、放物線、双曲線になるが、放物面の切り口はどうなるだろうか?

 とりあえず楕円放物面  の場合を考えてみた。

 この曲面をxy平面で切れば、切り口は楕円になり、

 また、この曲面をyz平面で切れば、切り口は放物線になり、

 そして、この曲面をzx平面で切れば、切り口は放物線になる。

どうやら、楕円か放物線になりそうである。一般の平面での切り口を考えるために、

放物面をy軸の回りにθだけ回転しxy平面での切り口を考えよう。

をy軸の回りにθ回転した点をとすると、


 

であるので、これを代入してすると、次の式が得られる。

・・・・・@

のとき、@は

となるので、この切り口は放物線になる。

のとき、@は

となるので、この右辺が正であれば楕円になる。

 

 次は、双曲放物面について調べたい。

 サークルの検討では、一般に

『2次曲面を平面で切った切り口は、2次曲線になる』

が成り立つと思われる。そして、

『平面による切断で、楕円・放物線・双曲線の3種が現れる2次曲面は、円錐だけ』

という予想もだされた。

 

●韓国語と韓国語の点字                   井上 具規(花巻北高)

 点字は3行×2列に並んだ6つの場所に、点があるか“●”、ないか“・”によって文字を表します。よって、組み合わせは種類になります。

1 英語の点字

 英語の点字は次のようになります。規則性を考えてみましょう。

2 日本語の点字

 日本語の点字はうまくできていて、覚えやすくなっています。次の例から規則を考えてみましょう。

右と左、どこが違うでしょう?そうです、6番目に●文字がついたかどうかですよね。つまり、図のように上下に分けて上は母音、下は子音を表しているのです。このように、日本の仮名は、基本的に1音を点字1文字で表すことができます。例外は、濁音、半濁音、拗音で、これを伴う仮名は、点字2文字で表します。

3 韓国語の点字

 韓国語は、

を組み合わせて作ります。その形は

ですから、韓国語1文字は点字1文字どころか点字2文字、3文字、4文字…で表されます。韓国の点字は次のようになります。例えば『キムチ Kim chi』は次のとおりです。

タンジェントの数学2                   伊藤潤一(盛岡北高校)

1 みよ大空に飛行機の高く飛べるを(続)

 高度h(m)を水平飛行する旅客機がある。この旅客機の仰角を測ったらα°であった。1分後の仰角はβ°、さらに1分後はγ°であった。この旅客機の速度を求めよ。ただし、旅客機は速度一定で進行方向を変えないとする)

 左図において

題意によりしたがってにパップスの定理を用いて

すなわち

よって、

  m/分)

2 タンジェントの加法定理

 タンジェントの加法定理は、普通サインとコサインの加法定理を使って証明する。しかし、タンジェントのことはできるだけタンジェントですませたい。そこで、次のような証明を考えた。

とすると

となる。

点列は点Oについて背景的なので、複比は等しい。よって、

すなわち

この式を整理すると、

が導かれる。

3 タンジェントのn倍角の公式

 タンジェントのn倍角公式は、サイン、コサインのそれに比べてとても「美しい形」をしている。(だいぶ以前に中村道典先生が紹介したものです)

  

  

  

 見事に2項係数が現れているのである。この証明は、ド・モアブルの定理

でするのが一番スマートであるが、サインとコサインに分断された2項係数がタンジェントで一つにまとまったため、綺麗な形になったのである。

 

4 正接定理(続)

 前回△ABCについての正接定理

を紹介したとき「どんなときに使う定理だろうか?」という疑問をもった。

「2辺と挟む角の与えられたときの三角形の解法」では、普通は対辺BCを「余弦定理」で求め、残りの角を「正弦定理」または「余弦定理」で求める。しかし、余弦(コサイン)が発明される以前は、「正接定理」と「正弦定理」で解法をしていたのではないだろうか?すなわち、△ABCにおいて∠A、辺b、cが既知とするとき、まず、

 ・・・・@

正接定理より

この式を使えば角の大きさが求められる。それをとすると

・・・・・A

@、Aを連立してB、Cが求められる。あとは、正弦定理よりが計算できるのである。つまり、サインとタンジェントの三角比の表がわかっていれば三角形の解法が可能である。

 

 

 

 

定規のみでの作図問題                      小瀬川 剛(盛岡商業高)

 今回初登場の小瀬川先生(あの宮本次郎先生の愛弟子!)の問題提起です。

 コンパスを用いず定規のみでの作図法では、「与えられた線分の中点」は作図できないことが証明されています。ところが、図のように、この線分を含む長方形が与えられていれば可能です。

 一つの解は、次の通りです。

長方形ABCDの外部に1点Pをとり、線分CDとAP,BPの交点をそれぞれQ、Rとする。また、ARとBQの交点をSとする。このときPSとABの交点をMとすると、MはABの中点である。

証明は、チェバの定理で簡単にいく。

ABとCDは平行なので、PQ:QA=PR:RB=m:n

チェバの定理より

 よって AM=MB

 このことをふまえ小瀬川先生は、「長方形の内部に点Pをとるような作図法はないだろうか?」という問題を提起したら、さっそく井上先生から次のような作図法が紹介された。

長方形ABCDの対角線の交点をEとする。辺AD上の任意の点Pをとり、PCとBDの交点をGとし、AGとPEの交点をQとする。また、DQとAC、ABの交点をそれぞれF、Mとする。こうすると、Mが与えられたABの中点になるというのである。早速、その場で検討したが、正しいという“状況証拠”は見つかったがうまい証明がみつからなく、宿題にした。

その後、小宮山先生から解析幾何的証明の筋道がメールで、井上先生、小瀬川先生から初等幾何的証明がファックス(?)と郵便で送られてきた。次の証明のスケッチは、小瀬川先生のものである。

上の図において、

(@)△AEDにチェバの定理を用いて  ・・・・@

(A)四角形ABDFにメネラウスの定理を用いて  ・・・・A

(B)四角形ACGDにメネラウスの定理を用いて  ・・・・B

@、Bより これをAに代入すると すなわち AM=MB

 

 

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