’05杜陵サークル1月例会の案内

 

 新年明けましておめでとうございます。今年も元気でサークルを楽しみましょう。会員の皆様は、学校も始まりまた新たな気分で授業・部活動に励んでいることと思います。センター試験にかかわった皆様、お疲れさまです。これから、出願・受験とつづきますが、くれぐれもご自愛ください。さて、杜陵サークルの1月例会を次の日程でもちます。なお、例会終了後にいつもの月見亭で“新年を祝う会”をもつ予定ですので、こちらの参加もよろしくお願いします。

 

 

1 日      時 1月229日(土)pm4:00から7:30まで

2 場      所 岩手大学教育学部小宮山研究室(407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 サークル例会  実践レポート発表・検討、教具作り& 数学雑談、全国教研の報告

 

インフォメーション

 

11月27日(土)〜28日(日)にAMI東北大会が山形県米沢市でもたれ、サークルからもたくさん参加しました。宮本先生と井上先生のペーパークラフトのお店は、小学校の先生も参加されて大いに盛り上がりました。なんと何人かの人はクローバーノットの曲面に挑戦しました。また、分科会では下河原先生が正多面体、下町先生が数列の教具、伊藤先生が不等式の指導を発表しました。圧巻だったのは福島の森先生の同僚の先生と苦労しながら作った空間充満の多面体の模型でした。今後の展開が楽しみです。

12月29日(月)にいつもの月見亭で、サークルの忘年会がもたれました。そして関西や沖縄の修学旅行に行った先生のおみやげのお酒が振る舞われました。下町先生の購入ほやほやの三線の演奏も聴くことができましたし、井上先生の大道芸もさえ渡りとても楽しい会になりました。北海道から参加したChoiさんは、AMI花巻大会のスタッフTシャツの見本をもってきました。試着したらこれがまたイイんだなー。

1月8日(土)、9日(日)に一関市南小学校で岩手民教研がもたれました。宮本先生は球の表面積・体積を求める模型や黄金比満載のデューラーの八面体のペーパークラフトの作成を紹介しました。また、伊藤先生は背理法の指導メモのレポート発表をしました。参加者は少なかったですが、内容のある分科会でした。

2月12日(土)、13日(日)広島市で全国研究会議がもたれ、下町先生が発表します。内容は数学教室の2月号に載っています。サークル会員必読でしょうね。この会議に、下町先生の他に小宮山先生、伊藤先生、宮本先生、下河原先生そして木下先生が参加する予定です。また、同時にもたれる全国委員会で2006年全国大会の骨子が論議される予定です。

10月例会で発表したJung-Ah Choi北海道)レポートの解説に対して宇都宮大学の井ノ口順一先生からのコメントが寄せられています。双曲空間についての記述が不正確であったようです。訂正したものは宮本先生のHPに載っていますので見てください。サークル通信をキチンと見てくれている人がいるのは心強いかぎりですね。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

12月例会の様子

 12月4日(土)の杜陵サークル12月例会の様子をお知らせします。

●三角比の授業                       宮本次郎(釜石南高校)

1 平面幾何と三角比

 平面幾何の中で次の辺の長さを求める問題をやってみた。このような問題は結構よくできる。 

     

   ところが次のように解く生徒はいなかった。

    

 2番目の解法こそが三角比なのであるが、生徒達とってはこういう考え方は「自然」ではないということだろうか。小学校で学習した

比較される量=もとになる量×割合

という関係は、図形の中では自覚されず、むしろ、相似を通して「比例関係」の方が自然に受け入れられているのではないだろうか。もしそうであるならば、三角比の学習が「比例関係」をベースにして、小学校以来導入されてこなかった「比の値」を自立した概念とする絶好の場面かもしれない。はじめに比の値として三角比を定義する前に「単位あたりの大きさ」から出発して比例関係を通して生徒にとって自然な考えの流れに沿って少しずつ慣れていきながら最終的に自立した「比」の概念ができあがるような指導の流れが望ましいのではないだろうか。

2 指導の順序

 

 

 

 

 

角度θの斜面を1進んだときの水平方向上昇分をと定義する。これは「単位あたりの大きさ」を定義しているのであって「比」としての定義ではない。

 このように定義して、図1のような練習をする。この練習は簡単で、非常によくできる。

次に、図2のような練習をする。

 

であるから、

となる。これは、小学校でやってきた

比較される量=もとになる量×割合

をめぐる3つの量の扱いの練習に対応するものになる。そして、この練習が全員できるようになったところで、図3からを求める練習をする。この練習は、教科書の定義になる。

 授業をすすめ十分に三角比になれたところで、最初の定義を振り返り、教科書の定義との違いを確認したした後で、

斜面1進行したときの垂直上昇分としての

という定義と

比の値=対辺/斜辺

という定義ではどちらが好きか?と尋ねてみると

1あたり量としての定義・・・3分の2 比の値としての定義・・・3分の1

ということであった。あのSの字書く覚え方はそれなりに分かり易いのだろう。

 

●杜陵サークルPresents〜数学の小論文対策講座〜        下町壽男(花巻北高校)               

 

自然数全体の集合をNとかく。Nの部分集合Aに対し、n以下の自然数でAに属するものの個数をとかくとき、次の問に答えよ。

(1)Aを偶数全体の集合とするとき、を証明せよ。

(2)となるような集合Aを作れ。

(3)無限集合であって、となるような集合Aを作れ。

【2004 東北大学理学部数学科小論文】

 花北のS君の答案

(3)となるためには、=定数となればよい(収束)。しかし、は自然数によりは発散する。そこで、Aを素数全体の集合と考えてみる。素数は無限に存在する。(注1)しかし、

 *のとき

   のとき

    のとき

     

のように、nが大きくなっていくと との差は大きくなるので、と考えられる。また、    

   以下の素数の数(注2)となるので、

   

よって、以上により、Aは素数全体の集合である。

 しもまっちのコメント

注1に関わって

 素数が無限に存在するということは証明できますか。確か課外で2通りの方法を行いましたが覚えていますか。面接ではそこの部分の説明を求められるかもしれませんね。

注2に関わって

 素数定理を思い浮かべたのはユニークですね。でも素数定理は

はn以下の素数の個数)というやつでした。だから、そのものが(それの切り捨て)になるということではありませんね。素数定理はガウスやルジャンドルが予想し、それから100年以上経過してチェビシェフやリーマンらによって進展し、19世紀になってようやく証明された定理です。素数定理は、課外でじっくりやりましたし、2冊の本(オイラーの贈り物/吉田武、素数入門/芹沢正三)も読んでもらったので、頭に入っていたのですね。もしかしたらこれはヒットかもしれませんね

(S君はみごとに合格したとのことです。下町先生よかったですね)

 

の近似                       金濱千明(盛岡第一高校)

 入試問題から

角丸四角形: 問題  を正の整数とすると は、 と の間にあることを示せ。
 

 

 


 解答例は、不等式 の証明で示されるが、その背景について考察する。

まず

とする。よりとなりとなることより、

がわかる。これはの比がに近づくことを示している。

また、

・・・@

より

・・・A

 

なので、比のときとなることがわかり、@から

となるのでの値を前後しながら、結構はやく収束する様子がわかる。

サークルでは、解がの方程式より、漸化式を作ると

とすると

となり、近似分数を得る手っ取り早い方法が紹介された。また、1×2の面積2の長方形から出発して、下の図のように面積2を保存しながら次第に正方形に変形していく方法は、古代バビロニアの平方根の算出法と同じであることが紹介された。

 

 

トポロジーの連結と分離                  井上 具規(花巻北高)

 次のような図形はすべて同一視しよう。このとき以下のように様々な模様ができる。これらを分類し名前を付けて、演算を考えていきたい。

 

1 基本の名前

(1)穴の数によって基本の名前を付ける。

(2)穴の中に図形が入るときは( )内に記す。

 

(3)穴の中に何も入っていないときは、φで表す。

(4)穴の中に2つ以上ある場合は並列して表す。

 

(5)同じものが並列した場合は累乗の形で略記する。

 

2 複雑な例

 以上によって、どんな複雑な形の名前を付けることが可能になった。同列の場合は、φ、0,1,2,…の順で書き表すことにすると、例えば左の図は

と表される。ところで上記のAの部分が連結すると

のように変化する。

のようにAが配置されており、連結したためである。

 このような連結あるいは分離によって、どのような変化が起こるか考察し、この3次元バージョンへの応用を考えた。 

 

●7個の点を一筆書きする方法              佐々木義卓(岩大大学院生)

 円Oの円周をn等分する点をとる。それらの全ての点を通って描かれる図形(ただし1つの点を2度通ることは許されない)の数を考え、この数を表現数とよびで表すことにする。ところで、

であることが知られている。各点を回る順番は、単純に通りが考えられるが、それらの順番に適当な置換(回転等)を行えば、互いに同値なものが得られるはずである。

 まず、円Oを7等分する点に、1,2,3,4,5,6,7の番号をつけ、1を出発点にする図形を考える。この点を、の順番で通る図形に対して

で表すことにする。そして、次の3種の置換を考える。

D1:円Oの中心に回転を与える置換

D2:点1と円Oの中心を通る直線を対称軸とする置換

D3:順番方向を変える置換

 3つの互換の合成

 この3種の置換を使って、図形を分類する。ここで図形Sにαを作用させた図形をSαと表すことにする。

1 完全対称な図形:を満足する図形、すなわち回転によって重なるような図形(図1)

   この表現数をとすると、となる。

2 対称な図形:を満足する図形、すなわち線対称によって重なるような図形(図2)

   この表現数をとすると、が成り立ち、となる。  

3 鏡映な図形:1でも2でもない図形(図3)

   この表現数をとするとが成り立ち、となる。

これより

となる。

 

 一般にnが素数のときの表現数は、n=7のときと同様にして

1 完全対称な図形の表現数

2 対称な図形の表現数より計算

3 鏡映な図形の表現数より計算

 

こうして、から求めることができる。

 

●相加平均と相乗平均の証明法                伊藤潤一(盛岡北高校)

  相加平均・相乗平均の証明法をいくつか調べてみた。高校の数学をいくらか超えるところもあるが、数学の証明を楽しむ絶好の教材でもあるので、数学愛好の生徒に紹介したらどうだろうか?

 1コーシーの天才的証明法

 2微分法を用いた堅実な証明法

 3凸関数の性質を用いた洒落た証明法

 4ポリアのひらめきの証明法

 5フルウィツの対称式を使った不思議な証明法

 6ロルの定理を利用した刺激的な証明法

についてとりあげたが、最後の6の証明だけ説明しよう。

をある定数として、次の3次関数を考える。

……@

とすると、