’05杜陵サークル6月例会の案内

 

 初夏の太陽がまぶしい今日この頃、杜陵サークルの会員の皆様お元気でしょうか。今年度はじめての期末考査を迎え、問題作りにいそしんでいるのではないでしょうか。さて、杜陵サークルの6月例会を次の日程でもちます。今回は、別紙のようにAMIの東北地区合宿研究会に合流してもつことになります。また、この会は、高教組数学教育分科会の学習会も兼ねています。今回は、東京の何森先生の講座が目玉でしょう。忙しい中ですが、新しい仲間を誘って参加するようよろしくお願いします。

 

 

1 日      時 6月25日(土)pm1:00〜26日(日)12:00頃まで

2 場      所 岩手大学教育学部 25日(土)pm1:00〜5:00

         国保会館 25日(土)pm7:00〜26日(日)12:00

3 内    容  講座「算数・数学の授業で生かせるワード・エクセルの裏技」

         (講師 何森 仁先生 東京地区AMI会員・神奈川大学)

         東北各県の小・中・高の実践レポート発表・検討

         2006年AMI全国大会(花巻)の打ち合わせ等

 

インフォメーション

6月11日(土)岩手大学で岩手AMIの拡大事務局会議がもたれ、約1年2ヶ月後に迫った花巻大会の準備について話し合いました。その中で「今年の8月27日(土)に小・中・高の全国水準の実践者を呼んだで業講座をもち、この機会に岩手のAMI会員を増やすとともに会員のレベルアップを図ろう」などが話し合われました。

今年の組合教研は、来年の全国大会の宣伝をする上で極めて大切になると思われます。そこで、9月〜10月の支部教研までに「大会0次案内」のチラシをつくることにしました。この「チラシ」+「ネコ仙人Tシャツ」で大会を宣伝し、たくさんの人に実行委員として協力をお願いするようにしたいものです。

8月3日〜5日のAMI全国研究大会広島集会の案内が近く届きましたか?広島はかなりの遠隔地ですが、次回の大会の準備ということもあり皆で参加できたらよいなと考えています。こんどの合宿研・サークルで打ち合わせをしたいと考えています。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

5月例会の様子

 

5月21日(土)の杜陵サークル5月例会の様子をお知らせします。

●平面幾何の授業                      宮本次郎(釜石南高校) 

 3年生で数学Aの平面幾何の授業をやっているところである。その様子の一部を知らせます。

 (1)平行線と比

 中学校の時に平行線の性質とか相似の性質とか勉強しました。こうやって平行線を引いて、平行線のない点Pをとります。この点Pを通って直線lを引きます。このとき、線分の比PQ:QRは、直線lがどのように動いても変化しませんね。」「まあ、みんなノートに平行線を引いて、直線lを3本ぐらい引いて、定規で長さを測って比を計算してみましょうか。」「みんな同じようになったかな?同じになった人、手を挙げて、は〜い、全員同じになりました。こうやって同じになると、どうしてかな?という疑問がわく。本当にいつでも同じ何だろうか?……」

(2)中点連結定理

「今の平行線の性質から直ちに出てくるのが『中線連結定理』です。三角形の辺ABの中点Mと辺ACの中点Nを結ぶと『でかつとなる。』ということです。さっきやった平行線の性質のどこをどうすれば、この定理がでてくる?」「ということは、中線定理じゃなくて、もっと一般にいろいろなことがいえるんじゃないかな?」「だったらかつ……」

(3)中線連結定理の例題

「次の例はすごく面白いねえ・・・どんな四角形でもいいから、四角形ABCDを描いて、各辺の中点を結んでいくと、いつもそれは平行四辺形になると、問題はいっていますね。」「これ、どうやって証明したらいいのかなあ。」「対角線を引く」「なるほど。じゃひいてみよう。どうしますか?」「中点連結定理!」「△ABCで中点連結定理を使うと何がいえる?」「かつ」「かつ」「ほお・・・なるほど、△DACについて中線連結定理を使って同じようなことがいえたんだね。」「はい、それは素晴らしい態度ですよね。なにか一つ新しいこといがわかったら、似たようなことを探してみる。これがGOODです。」「そうすると、たぶん、これで証明ができますが、わかるかな〜。」

(4)三角形の内角の二等分線

「これは有名な定理で、これからもよく使われるものです。簡単に言うと『三角形の内角の2等分線は、対辺を挟む辺の比に内分する』ということです。まず、みんな、ノートにそれぞれ、異なる形の三角形をかいてください。そして、分度器で角度Aを測って、角度の2等分線を引いて、対辺をどういう比に内分するか、角Aを挟む辺の長さ測って、その比になっているか、やってみましょう。どうなりましたぁ・・・?じゃあ、どうしてそうなるか考えてみましょう。」「相似な三角形を探すか〜?平行線をみつけるかぁ〜?」「相似な三角形なんかないよ・・・」「平行線もないよ・・・」「ないときは作るだったねえ」

 このようにして(5)三角形の重心(6)三角形の外心(7)三角形の内心と宮本流の授業はつづくのであった…。

 

●正四面体・正八面体を切り出す               宮本次郎(釜石南高校)

 3月・4月のサークルで、立方体から正12面体・正20面体を切り出すことを報告し、実際に切断の様子を体験してもらった。残る正四面体と正八面体の切断について紹介する。

 正四面体と正八面体は次のように埋まっている。これを発泡スチロールカッターで切り出す。今回改良型の2号機をつくり2つの立体を切り出した。(材料費5000円)

  (立方体に埋め込まれた正四面体)       (立方体に埋め込まれた正八面体)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●複素数解の表示法                     井上具規(花巻北高校)                                

 2次方程式の解は、であるから、左図のようにxy平面にを描いても、解を表示できない。そこで、右図のように虚数軸を新たに作り、放物線を90°捻った形を下に付けて、解を表示する手法がとられる。今回は、なぜこのように描かれるのかを整理し、他の表示方法を示す。

≪放物線が2重になる仕組み≫

 とする。ここで、と複素数に拡張すると、

である。ここでまず、虚部を0にすると、よりとなる。

*のとき、これが上部の放物線であり、

のとき、これが下部の放物線である。

≪他の表示法≫

 今度は逆に、まず実部を0として考えたのが右の表示である。

つまり、双曲線上の点を考え、これを満たすの組に対して、を決めた。となる平面(平面)上に、解が見られる。

これを、≪3次方程式の解≫、≪3次方程式の解の四次元表示≫に拡張しようとする意欲的なレポートでした。

 

●折り紙でできる曲面                    井上具規(花巻北高校)

 正方形の折り紙を、下のように山折りと谷折りを交互に折っていくと、馬鞍形と呼ばれる図形に(近似的に)近づく。正六角形の折り紙で、同様に折ると、モンキーサドルと呼ばれる図形に近づく。(3つ目のくぼみは尻尾が垂れる部分だという)正八角形の折り紙で同様に折ると、Enneper曲面と呼ばれる曲面に近づく。このEnneper曲面は、極小曲面として有名です。

 サークルでは、馬鞍形もモンキーサドルも極小曲面の擬似的曲面になっているのではという見方が出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三角比の表をめぐって他〜入魂の課外授業〜        下町 壽男(花巻北高校)

 〜三角比の表をめぐって〜 

【問題】

角丸四角形: (1)AB=ACである△ABCの辺AC上に頂点A,Cと異なる点Dがあり、AD=DB=BC=1である。このとき、角Aの大きさを求めよ。
(2)(1)を利用して であることを示せ。  (類 静岡大2004)
 

 

 

 

 

 


T:まず図をかいてみましょう。△ABC,△BCDは相似な2等辺三角形、また、△ADBも2等辺三角形であることに注目します。この図から、●と○の角度がわかりますか?

S:○=2●、2○+●=180°がいえます。よって、5●=180°∴●=36°、○=18°となります。

T:そうですね。すると、今、AB=AC=xとおくと、△ABC∽△BCDからどんな式が導かれるでしょう。

S:AB:BC=BC:CDとなりx:1=1:(x−1)ですね。これを解くと、

となります。

T:この値は有名で「黄金分割」といいます。

S:そうすると、となり示しました。

T:これで君はの値を手に入れた。これは画期的なことだ。

S:なぜ画期的なことなのですか?

T:三角関数の相互関係の公式は「のうち1つがわかれば他の2つもわかる」ということを意味します。そして、もう一つ、三角関数の加法定理から「2つの角の三角比の値がわかれば、それをたしたり、ひいたりして作られた角の三角比もわかる」ということを意味します。

S:そうか、例えば30°、45°の三角比がわかれば、15°や75°のわかるということですね。

T:そうです。しかし、30°、45°の2つからではわかる角は限られますね。

S:角を整数に限定すれば、15°刻みの角の三角比しかわかりませんね。つまり、2つの角の最大公約数の倍数の角度がわかるということですか。

T:その通り。今、2つの角をα、β(ただし整数の角)としたとき、それから作られる角は、

mα+nβ(m、nは整数)

と表せます。この角は、m、nの最大公約数の倍数の角になります。

S:ということは、今やった問題で、18°がわかったということは、15°はわかっているから、15°と18°から最大公約数が3なので3°刻みの三角比がわかるということですか。

T:そうですね。ですから、2つの角が互いに素(最大公約数が1)であれば、1°刻みの三角比が得られるわけですね。

S:つまり、【定理】

角丸四角形: 2つの整数m、nが互いに素ならばmα+nβ=1となる整数α、βが存在する。
 

 

 


ということですね。証明はどうするのでしょうか?

T:ではすこし難しいですがやってみましょう。

・・・・・・・・・・中略・・・・・・・・・・・・

S:要するに互いに素である2つの角の三角比がわかれば1°刻みの三角関数表ができるということでした。具体的に、そのような角はあるのですか?

T:残念ながら、そのような角はないと思います。ただ、の近似値を導く面白い方法があるのです。最後にその話をしたいと思います。

S:10°の三角比がわかれば、18°、45°、10°の最大公約数は1なので、整数全体の集合が作れるということですね。

T:さて、の値は、まず次のような3倍角の公式から出発します。

ここで、とすると

つまり

今、とすると、上の式は

となります。つまり、この3次方程式を解けばの値がえらるわけです。

S:この3次方程式はどうやってとくのですか。

T:ここでは、グラフを利用して近似的に求めることをやってみましょう。

S:なるほど、のグラフとx軸との交点を求めるのですね。なので求める解は、図の●の部分です。

T:だいたいどのくらいの値だと思う。

S:よりすこし小さいくらい、くらいですかね。

T:そうだね。ポイントは、tが0に近い数のときはt、tはtよりもっと0に近くなるということ。例えば、において、と見てしまえば、すなわち、というように大雑把な値が得られます。ここで、ということがわかったので、あらためて、(pはかなり0に近い数)とおいて、に代入します。

S:すると、 すなわち 

T:ここで、を0とみる。

S:よって

T:三角比の表を引いてごらん。

S:ええと、とあります。

T:それで、近似計算の方は?

S:なので、おっとぴったり一致しました!

 この他に、下町先生は≪方べきの定理の応用≫、≪ささやかな理論武装〜直行行列〜≫、≪東北大AO入試2001小論文から≫の興味ある発表をしました。

 

三角関数の合成                      伊藤潤一(盛岡北高校)

 三角関数の合成の仕方は教科書に次の2通りが説明されている。

(@)加法定理の逆で導く方法

この方法は、何故2で括ったのかの説明が苦しい。

(A)補助図で導く方法

 補助図より、だから 

この方法は、一気にでるが気持ち悪い。そこで、今回の授業では次のようにやってみた。

●グラフで考える

 周期が同じサインカーブの重ね合わせたものはまた、サインカーブになることを、グラフの要所、要所の点をプロットして確かめる。

 

このようなアナログ的な作業は、生徒は初めての経験であったようで、はじめはどうしてよいか戸惑っていた。そこで、コツを伝授。

グラフの片方の値が0のときは、0でない方のグラフの点をプロット

 ・2つのグラフが重なっているところでは、2倍にした点をプロット

 ・グラフの正の部分と負の部分が相殺して0となるところを探してプロット

最大、最小になりそうなところを見つけて、プロットした点をなぞって滑らかなグラフを描く。

 グラフが完成したら、いずれも、1つのサインカーブになりそうだという予想をたてる。つまり、

にまとめられそうだといことを確認するわけです。

●直角に曲がった折れ線の回転

 図のような折れ線OPQがOが原点、OPがx軸の正の部分に、Qが第1象限におかれている。今、この折れ線が点Oを中心にθだけ回転したとする。このときの点Pのy座標を、点Qのy座標をとすると、図より

となることがわかる。ということは、

の振る舞いを調べるためには、点Qの動きを探ればよい。

 図より明らかなとおり、点QはOを中心として回転運動をする。

 直角三角形OPQにピタゴラスの定理を使い

となるので、この回転運動の動径の長さはである。また、動径OQは動径OPより

 一般に、図のような折れ線OPQがOが原点、OPがx軸の正の部分に、Qが第1象限におかれている。今、この折れ線が点Oを中心にθだけ回転したとする。このときの点Pのy座標を、点Qのy座標をとすると、図より

   

となることがわかる。ということは、

の振る舞いを調べるためには、点Qの動きを探ればよい。

 図より明らかなとおり、点QはOを中心として回転運動をする。

 直角三角形OPQにピタゴラスの定理を使い

より、この回転運動の動径の長さはである。また、動径OQは動径OPより∠POQ=α

分だけ先行しているので、点Qのy座標Yは

と書くことができる。ただし、

すなわち、

となる。結局、三角関数の合成は、直角三角形OPQの斜辺と∠POQを調べることに帰着することがわかる。これで、補助図の意味がストンと腑に落ちた。

●周期が同じサインカーブの合成

 同じ周期のサインとコサインを合成したものはサインカーブを描くことがわかった。

 一般に、周期が同じサインカーブの重ね合わせたものはまた、サインカーブになることを証明しよう。つまり、

と変形できることを示す。

 そのため、図のような折れ線OPQがOが原点、OPがx軸の正の部分に、Qが第1象限におかれている。今、この折れ線が点Oを中心にθだけ回転したとする。このときの点Pのy座標を、点Qのy座標をとすると、図より

となることがわかる。ということは、

の振る舞いを調べるためには、点Qの動きを探ればよい。

 

図より明らかなとおり、点QはOを中心として回転運動をする。

 三角形OPQに余弦定理を使い

より、この回転運動の動径の長さにあたる。また、動径OQは動径OPより∠POQ=α分だけ先行しているので点Qのy座標Yは

と書くことができる。ただし、

すなわち、

となる。結局、三角関数の合成は、三角形OPQの辺OQと∠POQを調べることに帰着することがわかる。こうして、同じ周期の

サインカーブ+サインカーブ=サインカーブ

が証明できた。

 

 

 

 

 

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