’05杜陵サークル8月例会の案内

 

 例年にも増して残暑の厳しい日々が続きますが、杜陵サークルの会員の皆様お元気でしょうか。短い夏休みもおわりが近づきアーアとため息が混じるこの頃ではあります。さて、杜陵サークルの8月例会を次の日程でもちます。夏休み明けの忙しい中ですが、新しい仲間を誘って参加するようよろしくお願いします。

 

 

1 日      時 8月20日(土)pm4:00〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部 小宮山研究室407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 内    容  AMI全国大会報告

         実践レポート発表・検討、

         教具作り& 数学実験

 

インフォメーション

8月8日〜10日広島市の鈴峯女子短大・市民会館で第53回数教協(AMI)の全国大会がもたれました。サークルからは小宮山、伊藤、金濱、川村、下河原、井上先生の6人が参加。伊藤先生が初等幾何、井上先生が微分積分の分科会で発表。また、伊藤先生は、入門講座・高校の解析の講師で大貢献しました!開会式のトークショー「楽しんでますか数学・音楽・絵画」は、野崎先生・森ミドリさん・安野光雅さんの“豪華三点盛り”のホントに楽しいトークとチェレスタの演奏でした。また、書籍販売ではとてもよい場所を確保し、杜陵サークルレポート集、宮本次郎レポート集等を展示販売しました。井上先生の初めての著作“立体感覚のつくCGとペーパークラフト教材”は完売という凄さ。また、その場所で“ネコ仙人Tシャツ”の販売もして、野崎先生や足立先生など多くの先生に買ってもらいました。閉会式では、感想発表の川村先生につづいて、実行委員長の小宮山先生から「来年の花巻大会にぜひ参加を!」の呼びかけがありました。

AMI50周年記念出版の“家庭の算数・数学百科”(日本評論社)が4年の月日をかけ、ついに8月6日に発刊しました。AMIの200名を越える執筆者に支えられ480ページの厚さにも関わらず3150円という廉価を実現しました。とてもわかりやすく「寝ころびながらでも読める辞典」です。サークルの6名も著者に入っていますので、たのめば“八掛け”で手に入るはずです。個人でまた学校の図書館に普及したいものですね。

8月27日(土)にサンセール盛岡で、岩教組教研の算数・数学分科会の中間学習会がもたれます。この学習会には東数協から石井孝子(成瀬小)、平野(明星学園中)がきて講座を受け持ちます。この費用はAMI中央の特別活動支援でまかなうことになっています。来年の全国大会に向けて実行委員の裾野を広げる活動でもあります。また、この日、同じ場所で5時から6時半まで全国大会に向けた東北の準備会議をもちます。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

6月例会の様子

 

6月25日(土)〜26日(日)の杜陵サークル6月例会・東北地区協合宿研究会の様子をお知らせします。

●講座「算数・数学の授業で生かせるワード&エクセルの裏技!?」 何森仁(神奈川大学)

 パソコンといえば、ワープロとして使ったり、表計算ソフトで成績処理をしたり、インターネットでいろいろなものを覗いたり(?)買ったりするものとして使われています。しかし、数学の教員でもパソコンを、数学の授業に役立てることは少ないようです。でも、「情報科」にも関係しなくてはならないし・・・。

 ところが「ワープロソフト」と「表計算ソフト」は、数学教育のために作られているのではと思うくらい、いろいろなことができます。今日は、WordとExcelを使って、ワープロや表計算のソフトの初心者でも、明日からの授業が生き生きとなるように、授業・教材に役立つ使い方のヒントを示したいと思います。

 Wordではないワープロソフトを使っていても、機能は似ているので充分応用がききます。実は、私は普段Wordはほとんど使っていません。(Windowsもですが)皆さんも、いろいろなワープロソフトで自分の使い方を開発してください。

 たとえば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●帽子の色当て                      繁在家 昇(青森・小学校) 

 絵本「赤いぼうし 文:野崎昭弘・絵:安野光雅」(童話屋)の「帽子の色当て」の推理ゲームを、元にして小学校6年生の研究授業で実践した報告。

 授業者以外の3人の先生達に帽子をかぶってもらい、一人はついたての影に隠れる。子ども達は、ついたてに隠れた先生の帽子の色をあてるのである。3人の先生達は自分のかぶっている帽子の色は見えないが、他の先生のかぶっている帽子の色は見えるという設定である。

 授業の山場では、赤い帽子が3個、白い帽子が2個の計5個から3個を選んで帽子をかぶせる。A先生がついたての影に隠れ、B先生が白帽子、C先生が赤帽子をかぶって登場、C先生に帽子の色を質問したら「分からない」という。では隠れているA先生の帽子の色は?

 もし、C先生が「分かった」のなら、A,B先の両先生とも白い帽子をかぶっていることになる。したがって、C先生が「分からない」というのは、A先生が赤い帽子をかぶっているからである。このように推理して「A先生の帽子は赤だ!」と結論を出す。そこで、赤い帽子のA先生がついたてから出てきて、皆で拍手!

●“配ってから商を立てる”⇒“商を立ててから配る”へ    鈴木 正(宮城・船迫小)

 現行指導では、小学校3年生にわり算の筆算を教えなくなって、「余りのあるわり算は、苦手だもん。きらい。」という子どもが増えているようだ。

 そこで、自分の3年生の娘と一緒に今年の2月〜3月まで、わり算の筆算を学習したら、「楽になった。わり算ってこうやるんだ。」というようになった。

 また、わり算の筆算形式も“仮商”の考えを初めから使って、わり算の意味を確認しながらの“配ってから商を立てる方式”から、割る多位数でも使えるような“商を立ててから配る方式”へのスムースな移行を意識した指導過程を考えた。

 ≪おはなし≫

『お母さんが、家の中にいます。おやつの時間になったので、家の外で遊んでいる3人の子どもたちに声をかけました。「おやつの時間だよ。家の中に入っておいで。今日のおやつは、チョコレートだよ。お母さんは、家にもどってきた、3人の子どもに17このチョコレートを同じ数だけ分けてあげました。」

 1 “お話”を使ってわり算の筆算形式に導く

 実際にチョコレートを配り、子ども一人に6こずつ配られて1こ余ったことを確認する。配った数はかけ算で、余った数はひき算で計算できることを見つける。

3×6=18、19−18=1

 初めチョコレートは家の中、子ども達は家の外にいた。商は屋根の上に、配った数はもともとの数の下に書く。余りはひき算の結果なので、一番下に書くことに約束する。

       一人分

くばる数 )もともとの数

      くばった数

       あまり

2 “配る”ことを意識した筆算形式の練習

 “お話”の類題を、3の段の九九を唱えながら練習する。

3 筆算形式を“仮商”を書いてから配る方式に進化させる。

  一人分を予想して“仮商”をたてて九九を唱えて、配った数を出し、余りを求める。

  余りが、0より大きく、くばる数より小さくなったら成功。

 

●2等辺三角形の性質                   五十嵐 満(福島・鏡石中)                                

 中学2年生に、図形の証明(数学的推論)の必要性を感じさせるような授業案の提案。まず問題提示する。

≪図のような三角形ABCにおいて3辺のとき、は何度になるか?≫

 三角形OABの形をいろいろ変えても∠ABC=90°になることを予想する。生徒は分度器を使って実測したり、三角形の内角や外角を使って説明するアイデアがでる。これらのアイデアを“∠の記号”や“文字”を使って表現する。

 生徒各自の解決方法を発表させ、その中で重要な根拠として、

『2等辺三角形の2角は等しい』

がいえれば、∠ABC=90°がいえることを理解する。では、

『2等辺三角形の2つの角は等しい』は明らかか?

 2等辺三角形の頂角、底角、底辺の用語の確認をして、

『2等辺三角形の定義はなにか?』

考える。この定義から底角が等しいことを導き、そこから∠ABC=90°を導くような

数学的推論が証明

であることを理解させる。

●1次関数のグラフ・ささやかな工夫             岡崎弘志(青森・中郷中)

 1次関数の授業で、毎回疑問に思いつついつも実践できなかったのが、グラフの導入だった。線香の実験で1次関数に入っているので、グラフに結びつけて考えてくれるだろうくらいの、あいまいなものだった。そこで、今回は意識的に量の問題で、方眼でない座標平面でグラフを導入することにした。

 

 

正負の数の指導                      岩澤一郎(宮城・中学校)

 今年4月、5月と授業した、正負の数の指導の報告。□タイルを1万円の財産、■タイルを1万円の借金とする。当然、同じ金額の財産と借金が合わさると“チャラ”=“0万円”になる。こうして、次のような計算を考える。

 現実の世界では、払えといわれても払えない場合があるが、数学の世界では“チャラ”を作っていくらでも借金ができる。

これは“符号をかえてたす”と同じことである。

 

 

 

 

 かけ算は、おじさんの髪の毛の増減で考えた。

    (+5)×(−4)=−20        (+5)×(+4)=+20

(−5)×(−4)=+20      (−5)×(+4)=−20

 

確率カップ                        和田年央(秋田・無量熟)

 “確率カップ”の教具を用いて確率変数・確率分布を指導しようという提案。なんでも30年以上まえに提案したが、思い直しての再提案ということです。

 “確率カップ”とは、次の図のような、直方体状のカップが10本並んだものですが、カップの裾の部分以外は隠してあるものです。何本かのカップにはジュースが入っていて、あみだくじで獲得するカップを決め、当たればおいしいジュースが飲めるというものです。

 この“確率カップ”の横軸(すなわちカップの本数)は確率の強さを表し、縦軸(すなわちカップに入るジュースの量)は確率変数の大きさを表してします。したがって、下の左右の確率カップでのジュースの飲める期待値(本数)Eは、同じになります。

 

●空間の敷き詰め                   森 義彦(福島・清陵情報高校) 

 単一の立体図形による3次元空間の敷き詰め(充填)は、現時点で分かっているのは、次の5つでる。

@正6面体

A切隅8面体

B菱形12面体

C特殊な18面体

Dエンゲルの38面体

 切隅8面体は立方体を図のように2等分し、それを8個組み合わせて作ることもできる。このように考えると、切隅8面体による空間充填は平面における“エッシャー的敷き詰め”と同様に正6面体に帰着できることがわかる。

 また、菱形12面体も菱形12面体も立方体1個と四角錐6個に分割でき、しかもこの6個の四角錐は併せると立方体になる。よって、この立体による空間充填も同様に“エッシャー的敷き詰め”考えられることがわかる。

 Bについても同様に“エッシャー的敷き詰め”が可能なのか研究中である。またCについては、どんなものかわからず困っている。

(立方体・切隅8面体)    (菱形12面体)          (18面体)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●作図のいろは                       宮本次郎(釜石南高校)

 3年生に数学Aの平面幾何の基本的作図ができないので補充が必要になり、作図の授業を2回やった。

基本作図1 与えられた線分に等しい長さの線分を作図すること

基本作図2 与えられた角と等しい角を作図すること

基本作図3 与えられた線分の中点を作図すること・垂直2等分線を作図すること

基本作図4 与えられた角の2等分線を作図すること

基本作図5 直線外の1点からその直線に垂線を引くこと

基本作図6 直線外の1点を通りその直線に平行な直線を引くこと

基本作図7 与えられた2線分の長さの和・差を長さとする線分を作図すること

基本作図8 与えられた2線分の長さの積を長さとする線分を作図すること

 点Oを中心に半径1の円を描き、その円と半直線OYとの交点をEとする。点Oを中心に半径aの円を描き、その円と半直線OXの交点をAとする。さらに、点Oを中心として半径bの円を描き、その円と直線OYとの交点をBとする。点Bを通り直線EAに平行な直線を引き、半直線OXとの交点をCとする。こうすると、OC=abとなる。

基本作図9 与えられた2線分の長さの商を作図すること

基本作図10 与えられた線分の長さの平方根を長さとする線分を作図すること

 長さaの線分が与えられたとき、直線上に長さ1の線分OBと長さaの線分OAをとる。線分ABの垂直2等分線を引き、この直線上に1点Cをとり、この点Cを中心に2点A,Bを通る円を描く。このようにしてできた線分OXについて、となる。

 

●折り紙と石けん膜と極小曲面                井上具規(花巻北高校)

1 正8角形の折り紙でEnneper曲面

 正8角形の紙を図のように、山折りと谷折りを交互に続けていくとEnneper曲面(極小曲面)に良く似た曲面ができる。

 

 

 

 

2 石鹸膜で極小曲面

 図のような枠に石鹸水をつけると、石鹸膜は一番安定した場所に落ち着く。

 

 

 

 

 

3 Scherkの極小曲面

 Scherkの極小曲面を考える。このグラフは次の図のようになるが、これは上の極小曲面が連なったものと考えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●整方程式の解の存在範囲                  伊藤潤一(盛岡北高校)

 3次方程式の解の存在範囲について次のことを示そう。

角丸四角形: 3次方程式 ……@の解は、これから作られる、方程式 ……A
の唯一の正の解を とすれば、複素平面上で原点を中心とした半径 の円内にある。
 

 

 

 

 

 


Aの方程式の正の解は、ニュートン法や区間縮小法で近似解を求めればよい。

 同様にして次の定理がなりたつ。証明は3次の場合とほぼ同様である。

角丸四角形: 4次方程式 ……@の解は、これから作られる、方程式
 ……A
の唯一の正の解を とすれば、複素平面上で原点を中心とした半径 の円内にある。
 

 

 

 

 

 


 

 最後に例題をやってみよう。4次方程式の解をとする。

さて、次の4次方程式

の正の解は

  

より3より小さいことがわかる。よって、*            すなわち、解は複素平面で原点を中心とした半径3の円内にある。(かなり大雑把だが、一応解の存在範囲が示せる) 

 

 

 

 

 



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