’06杜陵サークル2月例会の案内

 

 明けましておめでとうございます。杜陵サークルの会員の皆様寒さにも負けず頑張っていますか?3年生担当の先生はいよいよ仕上げの時期に入り、取り組みも加熱していることでしょう。さて、杜陵サークルの2月例会を次の日程でもちます。今回のサークルは、同日2:00から行われる全国大会の準備会のあと引き続きもたれます。また、今回は、東京の何森氏(神奈川大)も参加する予定です。忙しい中ですが、新しい仲間を誘って参加するようよろしくお願いします。また、サークル終了後いつもの月見亭で“立春を祝う会”をもつ予定ですので、よろしくお願いします。

 

 

1 日      時 2月4日(土)pm4:30〜7:30

2 場      所 岩手大学教育学部 小宮山研究室407号)

           tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 内    容  実践レポート発表・検討、

         教具作り& 数学実験

 

インフォメーション

2月4日(土)2:00〜4:00岩手大学教育学部でAMI全国大会の準備委員会がもたれます。サークル会員の皆様はできるだけ都合をつけてこちらの方も参加してください。この実行委員会には中央から何森先生、東北地区協の委員長の中村先生も参加することになっています。

今年の民教研は、1月14日(土)15日(日)に宮古市でもたれましたが、沿岸でもたれたことと日程がいつもより1週間遅れたために参加できない人が多かったようです。参加した小宮山先生お疲れさました。

1月15日(日)に東数協・関数協合同の新春講座が東京の神楽坂でもたれ、伊藤先生が「数学教育を楽しむ」というテーマで講演しました。XAVIERシリーズの教具が好評だったとのことです。

1月13日(金)総合教育センターの研究発表会で下河原先生が「中高連携の数学科の取り組みについて」のレポート発表をしました。とても好評だったようです。

2月11日(土)12日(日)に東京で全国委員会・全国研究会議がもたれます、岩手から小宮山、下町、木下、宮本、伊藤の5人の先生が参加することになっています。

“家庭の算数・数学百科”(日本評論社)の売れ行きは、とてもわかりやすく「寝ころびながらでも読める辞典」ということでとても好調のようです。サークルの6名も著者に入っていますので、たのめば“八掛け”で手に入るはずです。個人でまた学校の図書館に普及したいものですね。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。下町先生のHPの中に全国大会のコーナーもあります。ときどきアクセスしてみてください。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

12月例会の様子

 

12月10日(土)杜陵サークル12月例会の様子をお知らせします。

●「つながる領域」と「はなれる領域」             井上具規(花巻北高校) 

 充分小さな対して、次の3つの不等式で表される領域を考える。

(A)  (B)  (C) 

(A)は2曲線でかこまれる部分を交互に塗り分けられて得られる。(B)は、(A)の領域がつながり、(C)は(A)の領域が離れた領域である。このように、

で表される不等式を用い「つながる領域」と「はなれる領域」を考えると、次の定理が推察される。

角丸四角形: 連結・分離定理
  は「つながる領域」、  は「はなれる領域」
 

 

 

 


 平面上の任意の2直線において、この定理が成り立つことは簡単に証明できる。

 交わる2曲線も交点の十分近くをみれば直線と考えることができる。よって、この近傍でも連結・分離の定理が成り立つので、一般に定理が成り立つことがわかる。3つ以上の組み合わせの例をあげよう。

●知った瞬間からすぐ使える数学マジック           宇部敦史(岩手大院生)

 紙と鉛筆(電卓もあればなおいい!)だけ使って簡単にすぐ使えるマジックを紹介する。

1 合計当て

 相手に指定した桁の数をかいてもらい、その下に自分で数を書きたすことを繰り返して、5つの数を書く。その数の合計を瞬時に求めるマジック。例えば、4桁でするなら

  3652 ← 相手

  5716 ← 違う相手

  4283 ← 自分

  1385 ← 相手

  8614 ← 自分

こうすると合計は「23650」となります。どうして瞬時に結果がわかったのでしょうか?

 このマジックのタネは、自分の書く数は各桁の9の補数を書くということです。こうすると、先頭の桁に2をつけて、最後の一位から2を引いた数が合計になります。

  

2 答えが「1089」

 まず、相手に一位と百位の数字が異なる3桁の数字を書いてもらう。次に一位と百位を入れ替えて、大きい数から小さい数を引く。この数の一位と百位をまた入れ替えた数をたすと、なんと、どんな数も「1089」になるというのです。

 例えば、「512」のときは、「512−215=297」、「297+792=1089」となる。このマジックのタネは、最初の数をとするとき、一位と百位を入れ替えてひいた数は

・・・@

となり、この数の一位と百位を入れ替えた数は

・・・A

となることです。@とAをたすと、「1089」になることが簡単にわかります。

 

3 超高速加算

 縦にアイウエオカキクケコと書いてある紙のアとイの部分に例えば2桁の数を書いてもらう。次にアとイの数をたした結果をウの欄に、イとウのたした結果をエの欄に書くということを繰り返して、コの欄まで数字を書き、アからコまでの合計を瞬時に求めるというもの。

 このマジックのタネは、キの欄の数を11倍すれば合計になるということです。例えば「21と13」を書いたときは、下のようになり、合計は「209×11=2299」となります。

 このマジックのタネは、フィボナッチ型の数列の最初の10項の和が、第7項の11倍になっていることにあります。

  ア   21      

  イ   13          n

  ウ   34      m+  n

  エ   47      m+ 2n

  オ   81     2m+ 3n

  カ  128     3m+ 5n

  キ  209     5m+ 8n

  ク  337     8m+13n

  ケ  546    13m+21n

  コ  883    21m+34n

つまり(ア)〜(コ)の和=55m+88n=11(5m+8n)=11×(キ)となります。

 

●三角形の外角の2等分線と線分の比             下河原 英(軽米高校)

 三角形の内角の2等分線の線分の比について、次の定理が成り立つことは周知であろう。

角丸四角形: △ ABCにおいて、∠Aの2等分線が辺BCと交わる点をDとすると
AB:AC=BD:DC
 

 

 

 


 また、三角形の外角の2等分線と線分の比について、次の定理が成り立つのもよく知られている。

 

角丸四角形: △ ABCにおいて、∠Aの外角の2等分線が辺BCの延長と交わる点をDとすると
AB:AC=BD:DC
 

 

 

 


 この外角の2等分線の線分比の定理を、内角の線分比の定理をベースに、傍心の性質に着目して証明してみよう。

 △ABCの∠B内の傍心をIとすると、∠A、∠Cの外角の2等分線と∠Bの内角の2等分線はいずれも傍心Iを通る。ここで∠Aの外角の2等分線AIと辺BCの延長との交点がDである。

BADに、内角の2等分線と線分の比の定理を適用して

CA:CD=AI:ID・・・・@

同様に△BADに適用して、

BA:BD=AI:ID・・・・A

@、Aから

CA:CD=BA:BD

すなわち

AB:AC=BD:DC

 

●レムニスケート                      宮本次郎(釜石南高校)

 1 レムニスケートの定義

 2定点からの距離の和が一定である点の軌跡は「楕円」である。差が一定である点の軌跡が「双曲線」である。また、距離の商が一定である点の軌跡はアポロニウスの「円」となる。そうであれば、残るは「2定点からの距離の積が一定である点の軌跡」を考えたくなるのが人情であろう。

 2定点からの距離の積が(一定)であるとき、すなわち

となるような点Pの軌跡の方程式は、

である。と固定し動かしてみると、次のような図ができる。このような曲線には、「カッシーニの卵形」という名前がついている。この曲線のなかで、特にときには、8の字形になる。この曲線を「レムニスケート」という。和名は「双葉曲線」というようだ。

角丸四角形: 方程式 で定まる曲線をレムニスケートという。
 

 

 


レムニスケートの直交座標表示は上のようにめんどくさい式になっている。ところが、極座標を用いると次のようにもっと簡単な式になる。

 極座標を使うと簡単になるのは、反転もそうであった。極座標で

という点の間には、となっているので、点Pの反転は点Qである。このことから、次のようなことがすぐわかる。

角丸四角形: レムニスケート は、双曲線 の反転になっている。
 

 

 


 さらにレムニスケートが登場するような場面を探すと、次のような事実が見つかった。

角丸四角形: 双曲線 上の点Pを中心とする円で原点を通るものを考える。点Pが双曲線上を動いたときにこのような円の包絡線はレムニスケートになる。
 

 

 

 


2 レムニスケートの長さ

 一般に曲線の長さを極座標で考えると、

となる。レムにスケートに対しては、

となる。ガウスが「多幸なる1797年1月8日にいたって、ゆくりなく正しきものをとらえ得た」ことを、高木貞治のガイドのもとで、私もこの積分にたどりついた。

 レムニスケートの弧長は、第1種楕円積分を用いて表すことができる。

 すなわち、レムニスケートからまでの長さは、

と表される。ここで、

である。

 

●素数定理に迫る他                     下町壽男(花巻北高校)

角丸四角形: (1)	正の実数に対し、 を 以下の素数の個数とする。 の範囲で のグラフをかけ。
(2)	この関数 に対して、 が成り立つという定理が知られている。この定理に関する感想を述べよ。(2001年東北大学理学部数学科AO)
 

 

 

 

 

 

 

 


T:素数定理に関する問題ですね。

S:(1)はいいとしても、感想といわれても困りますね。

T:この式についてどう思う。

S:ええと、がめちゃめちゃ大きいときは、と考えていいということですね。すごい 

  ですね。

T:これを凄いと感動することがまず大切だね。で、どこが凄いとおもう?

S:が出てくるところです。なぜ、なんでしょう。

T:うん、そうなんだね。というのは、指数関数的変化を1次関数、つまり等比数列を等差数列

  に移し変えるようなものと考えることができます。

   つまり、という指数関数的変化は、をとることでというよ

  うに1次関数的な変化に置き換わるのです。ということからみると、という式を、

  としてみた方が面白いかもしれませんね。この式の右辺は、以下の数の中に入っ

  ている素数の平均バラツキみたいなもんですね。

S:つまり、平均して1つずつ素数があるという感じですね。

T:それが、ということは、が指数関数的に増えたとき、素数のバラツキ度は1次関数的に増

  えるということがわかる。

S:確かに、数が大きくなると素数の出現する割合は低くなるような気がします。でもなぜここに

  が登場するか不思議ですね。

T:それでは、今回は、素数定理について、高校レベルの数学からできる範囲で頑張ってアプローチ

  してみましょう。

角丸四角形: 360以下の自然数で360と互いに素であるものの個数を求めよ。
 

 

 


  となるので、ベン図でかくと下の斜線部分になりますね。

360−(2の倍数)−(3の倍数)−(5の倍数)

  これだと引きすぎで、(6の倍数)、(10の倍数)、(15の倍数)が2回引かれているのでこれをたします。すると今度は真ん中の(30の倍数)がたしすぎになったので、これを1回分引けばちょうど「全体−2または3または5の倍数」となります。式で書くと、

 一般に自然数と素因数分解でできたときと互いに素である数は、

  と書けるのです。この公式は、スイスの数学者オイラーが発見したものです。この公式を応用することによって、を計算することができるようになるのです。ところで、すべての素数についての積

の逆数を考えてみましょう。

 これは、

であるので、

 

ところで、おなじみの不等式

がいえます。ほら登場したでしょう。

●不思議な行列                       伊藤潤一(盛岡北高校)

 微積分の創生期、ニュートンは導関数の計算を次のようにしていたらしい。

増分*が非常に小さい量ならば、は無視できるほど小さい量であるので、

とみなして、

とする。これよりの増分の割合はであるので、

となる。このようにして関数の展開式においてとした

で導関数を求めていたという。

 しかし形式論理によれば

*なのに」・・・@

とはいかがなものか?また、

だったら」・・・A

ではないか?などという批判があがった。当時は無限小のキチンとした定式化がなされていないからこのような混乱した議論は、ある意味で当然のことだった。

 @、Aの性質は実数にはないが、行列の世界まで拡張すればこのようなものを考えることができるはずである。

 次のような行列の集合を考えよう。

ただしは実数

ここで、

とすると、

と表される。

は零行列)

であるからこのタイプの行列のたし算、ひき算、かけ算は次のようになる。

このことからわかるように、このタイプの行列は制限付きながら四則計算ができることがわかる。

 このタイプの行列の極形式を定義しよう。

変形したとき、括った実数をMの絶対値、Hの係数をMの偏角とよび、次のようにあらわす。

こうすると「積の絶対値は、絶対値の積」 「積の偏角は、偏角の和」が導け、このことから、

となる。これは複素数のド・モアブルの定理に相当する性質である。

 次の式の展開を注意して計算してみよう。

なんと、右辺のHの係数に導関数が綺麗に出現しているではないか。そこで、導関数を次のように定義しよう。

……(★)

 では実際にいくつかの関数を微分してみよう。まず、が負の整数の場合を考えよう。

より、

がいえる。また、

より、

がいえる。また、

行列Aについて

(**)

と定義すると。

また、

これより

したがって、

がいえる。

実は、のタイプの行列は、複素数

は実数)

のモデルであった。計算規則が、

で特徴づけられるこの複素数は、双対複素数と呼ばれ、19世紀のドイツのユーゲン・シュトウデュによって考え出されたものである。双対複素数は、2次方程式論とは何の関係もないことから代数学との結びつきいは弱いとされ、これまでの応用は幾何学に限られているようである。

 10数年前、双対複素数の微分への応用について、レポートしたことがあったが、そのとき

この変な複素数の存在自体が信じられない

という感想があった。

 そこで、今回のレポートで、この複素数の行列のモデルを示し、存在意義を示したかったわけである。この複素数で微積分を全てカバーできるとは思わないが、無限小に対する一つの視点を与えるものではないだろうか。これによって、ニュートンの時代の無限小をある意味で合理化できると思うがどうだろうか?

 

 

 

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