’06杜陵サークル3月例会の案内

 

 厳しい寒さも峠を越しましたが、杜陵サークルの会員の皆様年度末の激務お疲れさまです。さて、杜陵サークルの3月例会を次の日程でもちます。今回のサークルは、同日1:00から行われる全国大会の準備会のあと引き続きもたれます。また、今回も東京の何森氏(神奈川大)も参加する予定です。忙しい中ですが、新しい仲間を誘って参加するようよろしくお願いします。また、サークル終了後いつもの月見亭で“桃の節句を祝う会”をもつ予定ですので、よろしくお願いします。

 

 

1 日      時 3月4日(土)pm4:00〜7:00

2 場      所 岩手大学教育学部 小宮山研究室407号)

            tel 019-621-6539  fax 019-621-6543

3 内     容 実践レポート発表・検討、

           教具作り& 数学実験

 

インフォメーション

3月4日(土)1:00〜3:50岩手大学教育学部でAMI全国大会の第4回実行委員会がもたれます。サークル会員の皆様はできるだけ都合をつけてこちらの方も参加してください。この実行委員会には中央から何森先生、東北地区協の各県の実行委員も参加することになっています。

2月11日(土)に東京で全国委員会に岩手から小宮山、下町、木下、宮本、伊藤の5人の先生が参加し、今年の全国大会の東北地区協の提案が一部修正されて認められました。いよいよ準備が始まりますます。

2月12日(日)に東京で全国研究会議がもたれました。PISA2003(OECDの学習到達度調査)の日本の数学教育に与えたショックについての報告と討論でした。小林道正氏(中央大)による“的を得た”解説がとても面白かったです。それにしても文科省の楽観的ともいえる解釈には疑問を感じました。平均点が参加国中6位でトップグループという解釈はまあよいとして。数学への興味関心に関する4つの質問項目は、参加国の中で紛れもなく最低グループであるにも関わらず、たった1行“平均より少なかった”で済ませています。この質問項目は“未来の数学学力のポテンシャルエネルギーの表現”なのでこのような文科省の“くさいものにふた”の立場は、数学教育の未来に“暗雲”をもたらす気がします。

4月1日、2日に京都の聖護院でAMIの全国高校集会が予定されています。今年の花巻大会の宣伝もかねていきませんか?

“家庭の算数・数学百科”(日本評論社)の売れ行きは、とてもわかりやすく「寝ころびながらでも読める辞典」ということでとても好調のようです。サークルの6名も著者に入っていますので、たのめば“八掛け”で手に入るはずです。個人でまた学校の図書館に普及したいものですね。

絶好調の宮本先生と下町先生のホームページ。宮本先生のホームページの中に杜陵サークルのコーナーがあります。皆さんのぞいてみよう。下町先生のHPの中に全国大会のコーナーもあります。ときどきアクセスしてみてください。

   下町先生のHP  http://www5b.biglobe.ne.jp/~simomac/

    宮本先生のHP  http://homepage1.nifty.com./toretate/

 

2月例会の様子

 

 2月4日(土)杜陵サークル2月例会の様子をお知らせします。

●すずめばちの巣はなぜ正六角形か             中村 潤(千葉学園高校) 

 ファーブルの昆虫記18の昆虫の幾何から(要約)

 ≪すずめばちの家が要求されるもの≫

 すずめばちはこういう@それはより広い住居Aより豊富な人口だBわれわれの材料を空費してはならぬ。おのおのの仕切は2つの隣り合った部屋に共用されなければならない。

 ≪なぜ正六角形か≫

 この問題を解決するために蜂はどうするか。まず彼は丸い形をすてる。(この形は)隙間なくまとめることも、仕切を共同することもできない。(では)どんな多角形を用いたらよいか。まず、第一にこの多角形は正多角形であることは明らかだ。さて、限りない正多角形のうち、3つだけが無駄な隙間なしに連続的にまとめ上げられる。正3角形、正方形、正6角形だ。一番円に接近しそのため幼虫の円筒の体型に適するものは。正6角形に他ならない。

 ≪神は恒に幾何学す≫

 春、すずめばちの巣が建築されるときには、母蜂一人きりだ。母虫その最初の多陵形を建てる。彼女の邪魔をするものは何もない。しかもぐるりに何の接触点もない最初の部屋は、こらから作られる他のものと同様、完全に正6角形である。誤りのない幾何学は最初から裏書きされている。

 私の予想では、

 予想1 周の長さが一定で面積が一番大きいのは円である。つまり、材料が最も少なく一杯入るの

     が円である。

 予想2 円のつめ方は2種類あるが、円を交互に配置したときは、隙間をつめようとすると正6角

     形になる。

 このような“お話”のあとで、蜂の巣の個数を数える問題を考えさせ、1辺がの蜂の巣(6角形)の個数が

になることを導いた。また、蜂の巣の個数の和が、次のような「三方壁」の総和とみなすことにより

になるという“驚くべき結果”(何森氏の発想)を得た。

 

 

●フィボナッチ数列の一般項について             何森 仁(神奈川大学)

 フィボナッチ数列の一般項は

・・・(1)

ですが、

・・・(2)

とも表せるという。ホンマかいな?さてさて、・・・。

(1)のひき算の式を、(2)のかけ算の式にすればよい。とりあえず、とすると、(1)は

と見やすくなる。だから、として、因数分解すればなんとかなるのでは。

 そこで、方程式の解をとすると、次のようになる。

 当然、なので、

ということは、因数定理により

因数

をもつことがわかる。だから、次のように因数分解できる。

 また、であるので、

さて、複素平面で考えると、は実軸に対して線対称になるので、より、*が奇数のときには

となる。

であるので、

nが偶数の場合も含めると、ガウス記号を用いて

と書ける。ゴチャゴチャしたけど、難しいものではなかった。(小澤さん、武田さんありがとう)

 

●2項間漸化式の特性方程式について             金濱 千明(大曲高校)

T 

T・1 *の場合 

 特性方程式の解に対して、

と変形でき、数列が等比数列となることがわかり、

すなわち

という一般項が得られる。

 このとき特性方程式の解αは変換における不動点であるが、で考えると∞も不動点であることがわかり不動点が2つあることがわかる。さらに、で考えると、その不動点は0と∞となる。

T・2 のとき

 漸化式は数列が等比数列となることを示しており、

という一般項が得られる。

 このときも特性方程式の解αは変換における不動点であるが、で考えると∞が不動点であることがわかり不動点が1つあることがわかる。

U (一般分数型)

U・1 特性方程式が2解α、βをもつ場合

特性方程式が2解α、βに対して

と変形でき、さらにこれらを辺々割ることで

数列が等比数列となることがわかり、

という一般項が得られる。このとき、特性方程式の解α、βは変換における不動点であり、不動点が2つある。さらに、数列で考えると不動点は0と∞となる。

U・2 特性方程式が実数の重解αをもつ場合

 特性方程式の解αに対して

と変形でき、さらに逆数をとることで

 

数列が等差数列となることを示しており、一般項が与えられる。この特性方程式の解αは変換における不動点であるが、で考えると∞が不動点であることがわかり不動点が1つあることがわかる。

 

●逐次代入法と漸化式                    伊藤潤一(盛岡北高校)

 昨年末に授業で数列の漸化式をやった。何度やっても漸化式は難しい。数列は本来ゲーム的な内容を含んでいるので、楽しめる教材なはずだが、それがΣ記号で揺らいで、漸化式でトドメをさし、最後は数学的帰納法で雲散霧消するというパターになりがちである。終わってみれば“数列なんか大嫌い!”ということになる。

 素朴な数列は、もともと人の好奇心や探求心をあおる絶好の教材なのだから、その素材のよさを生かした“調理法”を開発する必要があるのではないだろうか。

 そこで、今回は数列の漸化式の解法に焦点をあててみたい。漸化式の素朴な解法は、何といっても逐次代入法であろう。しかし、この方法で解くためには、煩雑な経過をくぐり抜けないと最後の解にたどりつけない。途中でイヤになって、挫折してしまうことがけっこう多い。そこで、これを改良してみた。

 漸化式について考えよう。初項と第2項をいろいろな値にしてその変化を調べてみよう。

のとき    のとき  

のとき        のとき  

 注目すべきはのときと、である。これらのときは、それぞれ公比2と公比3の等比数列なっている。では、漸化式の解を構成する2つの等比数列はどうして求めたらよいだろうか?もしこの漸化式が、公比αの等比数列を解にもったと仮定すると

が解なので、

が成り立つはずである。αは

より、次の方程式(これが特性方程式だ!)の解になる。つまり

 より 

が得られる。これより、この漸化式の解はは公比2と公比3の2つの等比数列の和で表され(そう?)ということがわかる。では、

のときは、どのようにしたらよいだろうか。うまい具合に公比2と公比3の等比数列に分離すればよいので、次の連立方程式をとく。

こうすると、

が求まる。そこで、

として逐次代入法を実行してみよう。

これより、

がわかる。(うるさくいえばここで数学的帰納法によってこの式が任意の自然数について成立することを証明しなければならないが、それはまあいいことにしよう)

●三角形の外角の2等分線と線分の比U            下河原 英(軽米高校)

 三角形の内角の2等分線の線分の比について、次の定理が成り立つことは周知であろう。

角丸四角形: △ ABCにおいて、∠Aの2等分線が辺BCと交わる点をDとすると
AB:AC=BD:DC
 

 

 

 


 また、三角形の外角の2等分線と線分の比について、次の定理が成り立つのもよく知られている。

 

角丸四角形: △ ABCにおいて、∠Aの外角の2等分線が辺BCの延長と交わる点をDとすると
AB:AC=BD:DC
 

 

 

 


 今回は、この内角・外角の2等分線の線分比の定理を三角形の面積比を利用して証明してみよう。

∠Aの内角の二等分線と辺BCの交点をDとすると△ABDと△CBDは底辺をそれぞれBD、CDとしてみると、高さが共通しているので

△ABD:△CBD=BD:CD・・・・@

また、∠BAD=θとすると、∠CAD=θとなり

ゆえに

・・・・A

@、Aから

AB:AC=BD:DC

∠Aの外角の二等分線と辺BCの延長との交点をDとする。∠Aの内角の二等分線と辺BCの交点をEとする.△ABDと△ACDは底辺をそれぞれBD、CDとしてみると、高さが共通しているので

△ABD:△ACD=BD:CD

また、∠BAE=θ、∠CAD=φとすると

よって、

△ABD:△ACD=AB:AC

 

AB:AC=BD:DC

 

 

 

 

●立方体から正多面体を切り出す              宮本 次郎(釜石南高校)

 理数科の「課題研究」で発泡スチロールの立方体から正多面体を切り出すテーマに取り組んだ高校生の研究日誌を紹介します。

 はじめに

 ある日、課題研究の題材について私達が悩んでいると、お煮しめを食べている泉先生を見つけました。いつも美味しそうに食事をとる泉先生が、今日はお煮しめをじっくり見つめています。何かがおかしいなと思い。近づいてみてみると、人参に形が正しく正多角形切り取られていました。聞くところによると、それは宮本先生のお手製のお煮しめだということです。

 泉先生と一緒にお煮しめを堪能した後、早速宮本先生のところに行きました。「あの大根、どうやって切ったんですか!?」「これはな、向かい合っている面が平行で、ここの頂点がこの辺につながるように切っていくと・・・」

 なんだか長い説明が続いたのですが、日常生活ではもちろん、数学の授業でもめったに触れることのない正五角形が12個もくっついている立体の説明を、大根でされたって分かる訳がないのです。お煮しめだけでは足りない泉先生をよそに、私達の研究が始まりました。

 2005年7月25日 

  正十二面体に内接する名刺を工作

 2005年7月26日 

  1辺の長さ1の立方体から正四面体を取り出すための計算

 2005年7月27日

  固定台for正四面体を作ろう・・・計算・・・

 2005年7月28日 

  固定台for正四面体を作ろう・・・作る1・・・

 2005年7月29日 

  固定台for正四面体を作ろう・・・作る2・・・

 2005年8月 2日 

  ちょっと見えてきた!!

 2005年8月 8日

  Zome  Toolで正十二面体を組み立てて観察

 2005年8月 9日 

  正十二面体を座標で考える

 2005年9月16日 

  ひたすら計算

 2005年9月18日 

  正二十面体の各面の正三角形の中心を結んでいくと正十二面体ができる。

 2005年9月21日 

  正十二面体をみる

 2005年9月22日 

  正十二面体をつくる

 2005年10月3日 

  正二十面体について

 2005年10月14日 

  正二十面体 切ってみました・・・。なぜかいびつだたけれど

 2005年10月28日 

  正二十面体を作るのに、まず十二面体を作っておいた。

 2005年11月22日 

  正二十面体の謎〜永遠の底なし沼〜

 2005年11月25日 

  ひたすら計算

 2005年11月29日 

  正二十面体つづき 明後日は修学旅行

 2005年12月16日 

  まとめに切る作業

 2005年 

  1月13日 正五角形になるのか?

この研究は、県の課題研究発表会でなんと1位に輝いたとのことです。

 

●リーマンのゼータ関数について〜修士論文概要〜      佐々木義卓(岩手大院生)

 修士論文の内容はリーマンゼータ関数の平均値理論に関するいろいろな結果を調査したサーベイ論文である。

 リーマンゼータ関数とは次のような関数である。

 ただし、

リーマンゼータ関数は次の性質をもつ。

* に1位の極を持つ有理型関数として全複素平面に解析接続される。

関数等式 

リーマンゼータ関数は素数の分布など、整数論と密接に関係しており、それ自身非常に興味ある研究対象である。また、リーマン予想、リンデレーフ予想などまだまだ未解決の問題もある。

 リーマン予想は、ゼータ関数のにおける零点はすべて上にあるという予想である。

 修士論文に関連するキーワードは大まかに3つ上げられる。

    1.リーマン予想

    2.リンデレーフ予想

    3.平均値理論

 

リンデレーフ予想は、リーマンゼータ関数のオーダー評価に関するものである。

任意の正数εおよびに対して

リーマン予想が成り立つならばリンデレーフ予想は成り立つことが示されるので、間接的ではあるがリンデレーフ予想が正しければ、リーマン予想も正しいだろうと思うのは自然であろう。いまのところ、ハーディの結果、指数からの劇的な改善はなされていないようである。

 リンデレーフ予想、すなわちリーマンゼータ関数の臨界線上でのオーダー評価を直接行うのは難しいが、平均をとることはそれよりも簡単である。リトウッドは

を示している。これはレンデレーフ予想が平均的には正しいことを示唆している。

 さて、この誤差項はなんであろうか。実は、の挙動とディリクレの約数問題の挙動は非常に類似していることが知られていおり、アトキンソンはその興味からの漸斤的表示を与えている。すなわち、

が予想されているが、いまだにそこまで至っていない。

 

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