ちなつ
私たちの生活の中で普段から使われている塩と厚紙を使い、三角形の内心や外心を求めたり、楕円やいろいろな曲線を描いてみましょう。
実験方法は、型を作り、それに塩をたくさん、まんべんなくふりかけるだけのすごく簡単なものです。以下に載っている証明や図を見るだけでなく、実際に実験をしてみると楽しいと思うので、ぜひやってみて下さい。
これからの実験では、塩が作る稜線が型紙の端まで等距離にある点の軌跡であることを利用します。このことを実験してみましょう。
定規のような幅が一様である板に、まんべんなく塩をふりかけると、板の上に積み重なって山となり、板の上に三角柱が出来上がります。上から落ちてきた塩は、降り積もった塩の斜面を転がって下の落ちていきます。
塩の粒は、板の端までの距離が小さい方へと転がりますから、板の両側の崖までの距離が等しい点のところが山のピークになるわけです。
このようにしてきれいに稜線が現れて、それは、板の端までの距離が等しい点の軌跡になるのです。したがって、定規のように幅が一様の板の場合は、中央線になるのです。
三角形の厚紙を(コップが三角形の中に隠れるように)逆さまにしたコップにのせて、その上にまんべんなく塩を降らせると、三角錐ができます。この頂上の真下の点が、三角形の内心となります。 ( 内心とは、内接円の中心で、各角の2等分線の交点として作図されます。 )
厚紙でふたのない箱をつくり、その底に塩が落ちていくような穴を3つあけます。 この箱を(コップで紙箱の穴をふさがないように)コップの上にのせて塩を降らせると、穴を中心にすり鉢上の穴ができ、このすり鉢のへりは、1点で交わる3本の直線になります。この1点の真下が、底にあけた3つの穴を頂点とする三角形の外心となります。 ( 外心とは、外接円の中心であり、各辺の垂直2等分線の交点として作図されます。 )
厚紙で円を作り、その円盤に、中心からずらして、塩が落ちていく穴をつくります。
この穴つき円盤を(コップで穴をふさがないように)コップの上にのせて、塩を降らせると、塩が積もって円錐ができますが、穴から塩が落ちていってその部分がすり鉢状になります。すり鉢の縁は楕円になります。
厚紙で、上の写真のような箱を作ります。箱の底に長方形の穴があけてあり、もう一つ丸い穴をあけます。
この箱をコップに載せます。くり抜いた円や長方形の部分がコップでふさがらないようにおきます。上からまんべんなく塩を降らせると、くり抜いた円を焦点とし、長方形の縁を準線とする放物線が描かれます。
上の写真のような箱を作ります。箱の1辺を直径とする半円の穴と、小さな円の穴を作ります。これを(くり抜いた半円や穴から落ちる塩をじゃましないように)コップの上におき、上からまんべんなく塩を降らせると、くり抜いた小さい円の中心と、半円の中心を焦点とする双曲線が描かれます。
さて、実験が終わって、疑問に思いませんか?「なぜ、円をくり抜いたり切り取った紙箱や厚紙で曲線が描けたり内心や外心を求めたりできるのか」と。
そこで、これから一緒に、なぜそうなるのか考えていきましょう。
三角形ABCにおいて、直線CDは砂を降らせてできた山の稜線であるとする。直線CD上の点は、三角形の2辺ACとBCへ等距離な点になる。直線BD、ADも山の稜線とすると、同様にして直線BD上の点は2辺ABとCBへ等距離な点であるし、直線AD上の点は2辺BA、CAへ等距離な点である。したがって、この2つの直線の交点Dは、三角形の3辺AB,BC、CAへ等距離な点になるから、点Dは三角形ABCの内心である。点Dから各辺へ下ろした垂線の足をE,F、Gとすれば、DG=DFだから、三角形DGCとDBFは合同になり、∠DCG=∠DCFがなりたち、直線DCは角Cの2等分線になっている。直線DA、DBについても同様。
箱に塩を入れます。箱の底に開いている穴から塩が落ちて行き、すり鉢状になります。3つの点でそれぞれすり鉢状になり、すり鉢の縁が隣のすり鉢の縁とくっつくと、そこの峰は真上から見ると直線状になります。2点A,Bを中心とする2つのすり鉢の縁がぶつかる峰は直線KDとなります。直線KD上の点は、2点A,Bからの等距離にあります。同じく2点B,Cを中心とする2つのすり鉢の縁がぶつかる峰は直線MDとなり、この直線上の点は2点B,Cから等距離にあります。この2直線の交点である点Dは3つの点A,B,Cから等距離にあることになり、同じく2点A,Cを中心とする2つのすり鉢の縁がぶかる峰の直線の上にあることになります。
したがって、すり鉢の縁がぶつかる3本の直線は1点で交わることになり、この点は、3点から等距離にある点であることになり、これは外心ということになります。
円盤の上に塩を降らせると、塩が山となって、その円盤を
底面とする円盤ができます。この円盤に穴があいていると穴
から塩が落ちて、すり鉢状になります。そのすり鉢の縁は、
塩の作る円錐を、底面とは平行でない平面で切ったときの切
り口になります。
右の図は円錐を、底面と平行でない平面で切ったときの切
り口を表しています。
円錐の中に、円錐に内接し、この円錐を切った平面にも接
する球をおきます。平面の上に小さい球、平面の下に大きい
球があります。小さい球と平面との接点を 、大きい球と平面との接点を とする。切り口の曲線上の点をMとして、
円錐の頂点と点Mを結ぶ母線をmとし、また直線mと小さい
球の接点をQ、大きい球との接点をPとします。
ここで、球外の一点から、球に引いた接線の長さは等しいので、
MQ=MF1
MP=MF2
となります。
したがって、
MF1+MF2=MQ+MP=PQ(一定)
となります。
このことから、切り口の曲線は、2点F1,F2 を焦点とする楕円になることがわかります。
箱の中に塩を入れる。箱の底の長方形に、右の図のように
長方形の一変を共有する長方形の穴があいていると、塩は穴
から落ちて行き、積もった塩は、平らな坂道ができる。坂道
を下って塩は落ちていく。
そして、さらに底に小さな円形の穴が開いていると、その
穴から塩が落ちて、坂道にすり鉢状のくぼみができる。
このすり鉢の縁上の点は、坂道を長方形の穴の方に転がる
のと、小さな円形の穴に落ちていくのと、ちょうど等距離に
なる点になります。
ということは、このすり鉢状の穴の縁上の点は、長方形の
穴までの距離と、小さな穴までの距離が等しいので、長方形
の穴の崖の直線を準線として、穴の位置Pを焦点とする放物
線の上にあることになります。よってこの縁は放物線になる
のです。
箱の底に、底の長方形の1辺を半径とする半円の穴が開い てると、塩はこの半円の穴に向かって落ちて、坂道が出来ま す。さらに底に小さい丸い穴が開いていると、この穴からも 塩が落ちて坂道にすり鉢状の穴があきます。
すり鉢の縁上の点からは、大きな半円の穴に向かって落ち
るのと小さな穴に落ちるのと等距離にある。すなわち、
MP=MQ
となる。したがって、
MO−MQ=OP ( 半径=一定 )
つまり、すり鉢の縁の点Mは、点Oまでの距離と点Q(小さ
な穴)までの距離の差が一定の点になります。
このことから、こうしてできるすり鉢の縁は、双曲線をな
すことがわかります。
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